2006年 01月 27日
スバルさんのアイデンティティ
今頃気が付いた。


今から2年ほど前の2003年12月、スバルはR2という軽自動車を発表した。

b0039141_13553116.jpg

2003年12月に発表されたR2
[Photo (C) Subaru]


R2の最大の特長は、大乗フェラーリ教祖として名高い自動車評論家MJブロンディ氏にして、「この間、環8で見かけたR2の気品たるや、イタ車も裸足で逃げ出すと思った。キテるよこれ。本気だよ。突き抜けてる。」(2004.3@Response)と言わしめたそのスタイリング。
広さこそが正義と言わんばかりに車内空間の拡張競争に凌ぎを削っている現在の軽自動車市場にあって、車内の広さを潔く棄て去り、スタイリング命で打って出たR2に対するクルマ好きからの評価は高い。

R2のスタイリングの肝は、「てんとう虫」にも例えられるその見事なワンモーション・フォルムと、そしてなんと言っても「スプレッド・ウィングス・グリル」と呼ばれる独特のフロント・グリルの意匠である。




b0039141_2148433.jpg

スプレッド・ウィングス・グリル
[Photo (C) Subaru]


「中身はいいけどデザインはダサい」と言われ続けてきたスバルは、かつてアルファロメオに在籍していたデザイナーをチーフとして雇い入れ、デザイン面での革新を模索してきた。
そして出した答えがこの「スプレッド・ウィングス・グリル」だった。
「スプレッド・ウィングス・グリル」は、左右に拡がる翼をモチーフにデザインされたものであり、航空機メーカーでもあるスバル(富士重工)のアイデンティティを表している。

このスバルの出した答えに対する市場の反応はどうだったか?
スバル・ファンのみならず、世のクルマ好き達の間に賛否両論を巻き起こしたのである。

オレッチも最初にこのデザインを見た時は、「!?」って思った。
だって、素直に「カッコイイ」とは言えないでしょ?

しかしスバルは、この「スプレッド・ウィングス・グリル」に賭けた。ユーザーの間でハッキリと好き嫌いが別れていることを認識しつつ、それでもなお、自社のアイデンティティとして大事に育てながら、やがては全スバル車に展開していくと宣言した。
「好き嫌いの分かれる顔ですが、欧州車の一部でも最初は酷評されたものがありました。クルマの性格に合わせてより良いバランスを考え、大事に育てていこうと思います」。
(スバル商品企画本部デザイン部 田中昭彦氏 2003.12@Response

そしてスバルは宣言通り、着々と「スプレッド・ウィングス・グリル」をR2から他の車種へと展開していったのである。
R2のコンセプトを更に先鋭化したR1
アメリカのプレミアム市場参入を目指して開発したフラッグシップ、B9トライベッカ
そして、量販車種のインプレッサフォレスターにも、マイナーチェンジの際にこの「スプレッド・ウィングス・グリル」を埋め込んで見せた。

レガシィと並んで同社の看板車種であるインプレッサが「スプレッド・ウィングス・グリル」化されるという事態に及び、当初は「スプレッド・ウィングス・グリル」に嫌悪感を感じたスバル・ファンの多くも、(半ば諦めの境地であることは否めないものの)遂にはスバルの本気を認めざるを得ない状況に至った。
当初は厳しかった「スプレッド・ウィングス・グリル」に対するスバル・ファンの眼差しは、こうして、いつしか生暖かいものへと変化したのだった。

そして今日では、スバル車以外のユーザーの間にも、「スプレッド・ウィングス・グリル」はスバルのデザイン・アイデンティティとして定着しつつある。
「スプレッド・ウィングス・グリル」に賭けたスバルの覚悟は、こうして今や成功まであと一歩のところにまで到達したのである。


さて、真面目なクルマ造りが身上のスバルは、どの車種も毎年必ず何かしらの改良を加える。スバル・ファンの間で「年改」と呼ばれるものである。
「スプレッド・ウィングス・グリル」をまとって登場し、スバルのデザイン革命の尖兵となったR2も昨年末に2度目の「年改」を受けた。
これが、「年改」を受けた"ニュー"R2である。




b0039141_20523363.jpg

[Photo (C) Subaru / Response]



やめたんかい(怒)




※注意:この記事は全てオレッチの主観で書いてますので、あまり本気にしないでください。



年改後のR2のグリルのデザインは、現行レガシィと同じ意匠に変わってしまった・・・

確かにレガシィ・タイプのグリルの方がスマートで端整ではある。
でも、これまでの3分割タイプの方がずっと個性的でインパクトがあった。そのために好き嫌いが分かれちゃったわけだけど、だからこそ同時に、ライバル達とは一線を画す存在感があったと思うのよ。
それに、あの個性的なデザインがあればこそ車内の狭さが正当化されてたわけだから、あのデザインを捨ててしまったら、もう車内の狭さを正当化できなくなっちゃうんじゃないのかねぇ? 
年改後のR2は、なんか「車内の狭いフィット」って感じ。

そりゃ誰かに嫌われてるよりも皆に好かれたい、ってのは分る。だけど、2年前の発表時のあの覚悟はどこに行っちゃったんだろうね? 
余裕の無い小メーカーのスバルには、あんまりこういうこと言うのは酷なんだろうけどさ。
それとも、早くも筆頭株主トヨタの影響が及んできたとか?

まぁ、スバルにすれば、R2やインプレッサのようにグリルを3分割したものだけが「スプレッド・ウィングス・グリル」じゃなくて、レガシィのように、六連星のエンブレムの左右に棒を伸ばしただけのグリルもまた「スプレッド・ウィングス・グリル」の一つであって、R2はレガシィ・タイプの「スプレッド・ウィングス・グリル」にしただけだよ、っていう理屈なんだろうなぁ。


ところで、3分割「スプレッド・ウィングス・グリル」化された現インプレッサ・オーナーの立場は?
[PR]
by oretch | 2006-01-27 22:12 | バイクとクルマ

<< 【ロッシ狂奏曲】ロッシがF1合... 【MotoGP】テスト再開 >>