2006年 06月 22日
【MotoGP】第7戦 カタルーニャGP レビューその1
たいしたことなくて良かった。怪我が無いこと。それが何よりも大事。

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シャンペンシャワワワ~
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■ スタート直後の多重クラッシュ

イタリアGPで復活勝利を上げて、さぁてこれから反撃が始まるんかいなと期待半分疑問半分でいたらいきなり予選でロッシキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
予選ではあまり頑張らないロッシが今季初PPをゲット。こりゃ完全復活に向けて相当気合刃ってそうだ。
2番手ホプキンスに続いて3番手にはなんとロバーツが並んだ。パパもきっと大喜び。
目下ポイント首位に並ぶカピロッシとヘイデンは、PPロッシにコンマ5秒ほど離されてそれぞれ2列目6番と3列目7番グリッド。まぁ無難なところだな。

そして決勝。TVに映し出されたカタルーニャサーキットは強い陽光を浴びたドライコンディション。今季はここまでずっーとドライだ。なんていいシーズンなんだろう。これもオレッチの日ごろの行いが良いからだな。と、一人ごちながらお気楽にスタートを待っていた。
その時はまさか、僅か数分後にあんなことが起こるなんて想像もしてなかった・・・




シグナルが消えて決勝スタート。好スタートを切ったのはPPのロッシ。3番グリッドのロバーツも悪くないスタートだ。
と思ったら2列目から予選8番手のストーナーが飛び出してきた。アウト側からもヘイデンがジワリと前に出てきた。ストーナーがロバーツの脇をすり抜けてグングン前へ加速していく。

19台のMotoGPマシンが長いストレートを横に広がりなら加速していく。そしてようやく1コーナーに達したMotoGPの群れは、ストーナーを先頭に1コーナーに殺到する。
ホールショットはロッシとヘイデンを引き連れたストーナーか-----

と思った次の瞬間!



あっ!!!!!



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集団の中ほどを走っていてジベルノウとカピロッシが接触。
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カピロッシがさらにメランドリに接触。
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コース中央よりややイン側。集団の中盤あたりを走っていたジベルノウがラインをイン側に寄せる。と、そこにはチームメイトのカピロッシがいた。ジベルノウが接触に備えて咄嗟に身体を寄せたように見えた次の瞬間、ジベルノウのデスモセディッチが突然リアを持ち上げて前方に1回転し、ジベルノウの身体を前方に吹っ飛ばした。1回転して激しく路面に着地したデスモセディッチが損傷したパーツを撒き散らす。
恐らくフロントブレーキのレバーがカピロッシのマシンに接触し、瞬間的にフロントブレーキがロックしたんだろう。
ジベルノウはそのままコース上を正面に向かって激しく転がっていき、マシンはアウト側を走っていたプニエを巻き込みながら、コース左の方に逸れていく。

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グラベル上を激しくバウンドするマシンとライダーたち。
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暴れ狂うデスモセディッチはプニエにも襲い掛かった。
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一方、ジベルノウに接触されたカピロッシはイン側を並走していたメランドリに玉突接触。2人はそこで転倒し、コース上に投げ出されてマシンと絡み合うようにコース上をすべっていく。
すると2人の前にアウト側からコーナーに進入してきたペドロサが突然現れた。カピロッシはペドロサを掠めてコース上をそのまま滑っていったが、メランドリは運悪くペドロサに衝突してしまった。

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なすすべもなく身体を打ち付けるカピロッシとジベルノウ。
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メランドリは横向けになって滑走する自分のRCVとペドロサのRCVに挟まれるカタチのままグラベルに突入。グラベルで激しくバウンドした拍子にようやく身体がマシンから離れたが、さらにバウンドしながら2、3度回転したあとにようやく静止した。
ペドロサのアウト側を走っていたホプキンスも巻き添えになった。ホプキンスは転倒することなくコースに戻ったが、ペドロサの方はグラベルに捕まって敢え無く転倒。すぐに立ち上がってマシンを起こしにかかる。多重クラッシュのキッカケになったジベルノウも左腕を押さえながら立ち上がる。
プニエもどうやら無事なようだ。
でも、メランドリとカピロッシは意識を失ったように、グッタリとしてピクリとも動かない・・・。

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ジベルノウは左腕を押さえながら立ち上がったものの、カピロッシは・・・
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横たわったまま微動だにしないメランドリ。オレッチもTVの前で凍りついた。
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背筋に悪寒が走った。最悪だ・・・・

その後の情報によれば、カピロッシは全身打撲、ジベルノウは左鎖骨を骨折。そしてメランドリは左腕脱臼とのこと。決して軽い怪我ではないけど、とにかく心配されたような事態は避けられたようで本当にホっとした。


レースはすぐに赤旗中段。再スタートすることになった。

■ 荒れたレースでこそ真の実力が出る

2回目のスタートではスズキがエンジン・ストールして再たび中断。
3回目の再スタートでようやく始まった。

1周減算されて24周で争われることになった決勝レース。3回目のスタートで好スタートを切ったのはまたもストーナー。2回連続してホールショットをゲットした。1列目スタートのホプキンス、ロバーツもまずまずのスタート。ロッシだけが少し出遅れた。

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ストーナーが抜群のスタートダッシュ。ホプキンス、ヘイデン、ロバーツ、ロッシが続く。
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1周を終わってホームストレートに帰ってきたときの順位は、1位ストーナー、2位ホプキンス、3位ヘイデン、4位ロバーツ、5位ロッシ。中野が6番手につけている。

2周目1コーナーでヘイデンがホプキンスに仕掛けるが、ホプキンスが粘って2位キープ。今回も気合入ってるぞ。そして3周目。ストーナーが依然トップ快走。ホプキンスを抜いたヘイデンが追いかける。
ロッシはまだロバーツの後ろ。まだ様子を見ているのか?

イタリアGPでは結構ロッシは気合入れて走ってたけど、今回はなんだか余裕を感じる。今季ここまではマシンの問題からロッシらしさがまるで感じられなかったけど、今回はなんだか絶対王者のオーラが漂っている感じだぞ。

案の定、3周を終えたところでロッシがペースアップ。4周目の4コーナーでロバーツをパスしたのを皮切りに、6周目にホプキンス、7周目にヘイデンと立て続けにオーバーテイク。アッという間にストーナーのテールにまで迫ってきた。

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次々と前走車をパスしてあっという間にストーナーのすぐ後ろ。
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そして8周目には遂にストーナーもかわして早くもトップに浮上した。
さて誰かロッシを追いかけていける奴はいるか?

スタート1回目の多重クラッシュで、カタルーニャでは強いはずのカピとジベのドゥカティ勢がリタイア。今季ロッシと並んで唯一人2勝をあげているメランドリも居なくなった。地元GPで期待されたペドロサは、多重クラッシュに巻き込まれてスペアカーに乗り換えたのが影響したのか、スタートで出遅れてようやく5位まで浮上してきたところ。
となると対抗できるのはストーナーとヘイデンくらいか?

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トップに立ったロッシをストーナーとヘイデンが追う。ついていけるか?
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なんて思ってたら、いきなりストーナーがスリップアウトして脱落。ガッカシ・・・
ストーナーはこれでイタリアGPに続いて2戦連続でリタイア。
う~ん、やっぱりこれも若さゆえの過ちってやつかなぁ。

ロバーツとホプキンスはロッシのペースについていけず、毎周コンマ3、4秒ペースでギャップが広がっていき、5位にまで浮上してきたペドロサはあっさりスリップダウンしてリタイア。
予想通り、結局レースはロッシとヘイデンの一騎討ちの展開になった。

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結局ロッシとヘイデンの一騎討ちの戦いに。
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ロッシが逃げてヘイデンが追いかける。2人は付かず離れず、コンマ3秒から5秒の間隔をあけてランデブー走行をしている。
ロッシは逃げたいけど逃げられないのか? それともヘイデンが追い上げたいけど追い上げられないのか? どっちだか分からないけど、とにかく互いに一歩も退かない

片や完全復活に賭ける王者。片やカピロッシのリタイアで暫定ポイント首位。今季のこれからの戦いを占う重要なレースになる予感がヒシヒシと盛り上がってくる。

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イタリア人とアメリカ人の戦いに、スペインの10万人の大観衆は釘付け?
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でも、やっぱりというかガッカリというか、レースが後半に入るとロッシが徐々にヘイデンとのギャップを広げ始めた。
13周目 ロッシ 1'43.613 / ヘイデン 1'43.508  ギャップ=0.391秒
14周目 ロッシ 1'43.317 / ヘイデン 1'43.499  ギャップ=0.573秒
15周目 ロッシ 1'43.499 / ヘイデン 1'43.368  ギャップ=0.442秒
16周目 ロッシ 1'43.200 / ヘイデン 1'43.257  ギャップ=0.499秒
17周目 ロッシ 1'43.424 / ヘイデン 1'43.424  ギャップ=0.499秒
18周目 ロッシ 1'43.386 / ヘイデン 1'43.691  ギャップ=0.804秒
19周目 ロッシ 1'43.575 / ヘイデン 1'43.616  ギャップ=0.845秒

そして20周目には2人の差はとうとう1秒を超えた。

ここで勝負アリ。

43秒台後半にタイムが落ちたヘイデンに対して、ロッシはその後も43秒台前半のタイムをキープ。最後は4秒の差をつけて余裕のクルージング。イタリアGPからの連勝となる今季2勝目を飾った。
最終ラップにはわざとテールスライドさせてスモークをあげたり、人指し指を突き上げて観客に「1番」とアピールするなど余裕タップリ。これでロッシは完全復活を果たした。 かな?

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最終ラップ。指を立てて「ナンバー1」をアピールしながら余裕のフィニッシュ。
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ヘイデンは最後は突き放されてしまい2位フィニッシュ。ポイント単独首位の座を再びゲットしたけど、ロッシに実力差をまざまざと見せつけられてしまった。やっぱりいくらポイントを重ねても、とにかくここぞというところで勝てる力とスピードが必要だな。

3位争いの方も最後は思ったよりも差が開いた。
終盤まで抜きつ抜かれつの激しい攻防をしていたロバーツとホプキンスだったけど、こちらも結局最後は実力差が出たのか、ロバーツが2004年の大雨のイギリスGP以来となる3位表彰台をゲットした。お父ちゃんも今ごろきっと大喜びしてるのに違いない?

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元チームメイト同士による3位争いは、熾烈なバトルの末に先輩ロバーツが制した。
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なお、途中まで追い上げてきていたペドロサは11周目に単独スリップダウン。一旦はコース復帰するものの、すぐにマシンをガーレジに戻してリタイアした。
また、我らが中野王子はスタートを何度もやり直す混乱の中で、不注意からレギュ-レション違反を犯してしまい、最後はブラックフラッグが出て失格処分になってしまった(泣)


■ シーズンのターニングポイント

今回のスタート直後の多重クラッシュは、今シーズンのタイトル争いの行方を大きく左右することになるかもしれない。いや、間違いなくなるだろう。ここまでのポイントランキングのトップ5中4人までもがリタイアしちゃったんだから。

しかも最悪なのは、カタルーニャGPがこれからオランダ、イギリスと1週間置きに連続して開催される3連戦の初戦であり、その初戦でカピロッシ、メランドリの2人が負傷してしまったこと。幸い、怪我はたいしたことなく、カピもメランドリもオランダGPに出場できる見通しのようだけど、そでも今回の負傷が成績に影響することは間違いない。
王者ロッシの不調に助けられたとは言え、せっかくここまで頑張ってきたのだから、今頃はきっと「そりゃ無いよぉ~」な気分でいるに違いない。カワイソウに・・・

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この時はまさかこんな結末になろうとは予想もしてなかったろうに・・・
それにしてもペドロサだけじゃなくピロッシも小さいな
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思い起こせば、カタルーニャGPでのスタート直後の多重クラッシュが、その年のタイトル争いの行方を決定づけたことが過去にもあった。

1998年、第12戦カタルーニャGP。この年は3人のホンダ・ライダーによって緊迫したタイトル争いが繰り広げられていた・・・・(以下、回想モード)


チャンピオン争いをしていた3人のホンダ・ライダーとは、5連覇を狙うドゥーハン、打倒ドゥーハンに燃えていた地元クリビーレ、そしてこの年から500ccクラスにステップアップしてきたビアッジの3人。カタルーニャGPを迎えた時点で、ポイントテーブル首位ビアッジを、ドゥーハンが4点差、クリビーレが7点差で追っていた。
この年は全14戦でカレンダーが組まれていたので、カタルーニャGPを含めて残りは僅か3戦。まさにタイトル争いは佳境を迎えていた。

1998年も今年と同じくドライで絶好のコンディションのもと、決勝レースがスタートした。
1コーナーに横一杯に広がってポジションを争いをしながら殺到する最高峰クラスのマシン達。その光景は今も当時も変わらない。
そして1コーナーがせまり、各車が減速してコーナーへのアプローチを開始する・・・・・

と、次の瞬間、中団あたりで突然数台のマシンがバタバタと倒れた。多重クラッシュ発生。一瞬にして2、3台のマシンがグラベルに弾き出されたが、その中になんとタイトル争い真っ只中のクリビーレが含まれていた。
タイトル獲得に執念を燃やすクリビーレはなんとか再スタートするものの、大破したマシンはいかんともしがたく結局リタイア。タイトル獲得を期待する母国大観衆の目前で僅か数百mでレースを終えたばかりでなく、タイトル争いでも大きく後退することになってしまった。

しかも混乱はこれだけに留まらなかった。なんとビアッジが、この事故のために出されていたイエローフラッグを無視してパッシングをかけてしまったことで、ピットストップのペナルティを受けてしまう。さらに、バロスとのトップ争いで忙しくて気づかなかったのか、あるいはペナルティが納得できずに故意に無視していたのか、いつまでもビアッジはコースに留まり続けたために、遂にレース終盤にブラックフラッグが出されて失格になってしまった。

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この黒旗が、ビアッジにとって最初にして最大の500cc王者のチャンスを奪った。Photo (C) RaiSport


こうしてタイトルを争う2人が思わぬ形で脱落。残ったドゥーハンはバロスを終盤にパスし、最後は余裕のクルージングで優勝。終わってみれば、2位ビアッジに21ポイント、 クリビーレに28ポイントの大量差をつけることに成功し、地元オーストラリアを含む2戦を残して、ドゥーハンが5連覇に向けて王手をかけることになった・・・・

シーズン終盤を迎えていた1998年とは違って、今年はまだ中盤に差し掛かったばかり。タイトル争いの状況も当時とはだいぶ異なるとはいえ、やっぱりこういうアクシデントでタイトル争いの行方が左右されかねない状況というのは、なんとも残念で仕方が無い。

果たして歴史は繰り返されるのかなぁ・・・?


ちなみに、あの有名なロッシとチキンのウィニング・タンデムは1998年のカタルーニャGPでの出来事。



(その2に続く)



1998年の多重クラッシュの原因は、スポット参戦していたスズキのライダーのブレーキングミス。で、そのライダーっていうのが藤原克昭だったのよね。
もうね、藤原が原因って知ったときは頭抱えちゃったよ。
なんてことしてくれるんだと。
特にオレッチは当時、5連覇を狙う絶対王者のドゥーハンに果敢に挑みかかるクリビーレを応援していたこともあって、悪いけど藤原には恨みも倍増だったわけですよ。

ま、いまさら言ってもしようがないんだけどね。
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by oretch | 2006-06-22 22:44 | MotoGP

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