2006年 08月 28日
【MotoGP】第11戦 アメリカGP レビュー その1
一月も前のことをいまさらですが・・・


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2003年、当時ホンダのエースだったロッシのチームメイトとしてGPデビュー。
参戦4年目の今年、自らがホンダのエースとしてロッシを追い詰めた。
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GPデビュー11年目にして初めての逆境に苦しむ王者ロッシ。
その相手は、袂を分かったかつての後輩。
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GPのカレンダーの中でやっぱりラグナセカはちょっと特異なサーキット。砂埃がそこかしこに浮いたスリッパリーで荒れた路面コンディションもさることながら、何といってもやっぱり名物コークスクリューの存在が大きい。去年ヘイデンがここでブッチ切りで初優勝を飾ったのも、AMA時代にラグナセカを散々走り倒したおかげ。

ということで、ラグナセカでの経験値が如実に現れた予選結果になった。



PPは、スーパーバイク時代にラグナセカを経験済みのバーミューレン。2番手は去年の「秘密のライン」発言でお馴染み地元エドワーズ。そして3番手、フロントロー最後もやっぱりアメリカンのロバーツ。

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予選トップ3。PPはバーミューレン。あれ?なんかジュニアの顔ヘンじゃない?
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4番手はペドロサ。これはちょっと驚き。ペドロサは今回初ラグナセカなのにこのポジションって、やっぱりこのルーキーの抜群の適応力、順応性を示してるんだろうな。
そして5番手、6番手に地元のホプキンス、ヘイデンが並び、上位6人中4人をアメリカ人が占めることになった。

ヘイデンの6番手っていうのはどんなもんなんだろうね? 去年はブッチ切りで勝ったけど、今年はちょっとてこずるのかな? って、もう勝つ前提で考えちゃってるけどさ。

一方、ヘイデンとタイトルを争うディフェンディング・チャンピオンのロッシは、前戦ドイツと同じ4列目10番手。一昔前はチャンピオン・クラスのライダーが予選で10番手なんて考えられなかったもんだけど、もう最近は全然驚かなくなったね。いろんな意味で。

ドイツで勝って自力チャンピオンの可能性が復活したとは言っても、そりゃもうかなーり厳しい条件がついてるわけだから、ロッシにすればもうヘイデンに1戦だって負けるわけにはいかない。でもここラグナセカはヘイデンの庭のようなもんだから、かなり厳しい勝負になることは当然ロッシも合点承知の助。勝てないまでもポイント差を最小限に抑えるようにヘイデンをマークしたいところだけど、早くも雲行きが怪しい感じだなぁ・・・・

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決勝での巻き返しを念じて恒例の儀式を・・・・って邪魔だよ!
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それと、気になるのはPPのバーミューレンの予選タイムが去年のヘイデンのタイムよりコンマ5秒も遅かったこと。原因は暑さ。気温は40度弱、路面温度は60度以上って、もうまるでここはカタールか?ってなぐらいの暑さだ。ラグナセカのある地域は砂漠も近くてほとんど雨が降らないところだとか。なので当然、決勝レースも厳しい暑さが予想される。
この暑さが、果たして決勝レースにどんな影響を及ぼすのか?

結論から言えば、今季のタイトル争いにそれはそれは大きな影響を与えたわけで・・・・

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ラグナセカの猛暑がタイトル争いの行方に思いも寄らない結果をもたらした・・・
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決勝当日のコンディションは気温39度、路面温度60度以上。体温より気温が高いってどんな世界なんだろうね? よくもまぁそんなところでレースするよね。
とかいいながらやっぱりヨーロッパのGPとは異なる独特の雰囲気に、ウォーミングアップラップの映像見てる時からもうワクワクしてくる。

前戦ドイツGPの放送は、高橋が勝った250ccクラスのちょっと長めのダイジェストが最初に挿入されて、MotoGPクラスの放送は中盤がちょっとカットされちゃってたけど、アメリカGPはMotoGPクラスしか開催されてないから、最高クラスのスペクタクロなレースを存分に楽しめていいね。

さて、強烈な路面からの照り返しに炙られながらスタートを待つ19台のMotoGPマシンたち。シグナルが消えて真っ先に飛び出したのは、アメリカ国旗をあしらったスペシャル・カラーのYZR-M1に乗るエドワーズ。でもフィニッシュラインの先の丘を越える頃には両脇から猛ダッシュしてきたロバーツとバーミューレンにブチ抜かれて、結局1コーナー“アンドレッティ・ヘアピン”に真っ先に飛び込んだのはロバーツだった。そしてバーミューレンがそれに続く。

3番手にはヘイデンがあがってきた。早くも3台ごぼう抜きして幸先のいいスタート。ストーナー、エドワーズ、ペドロサ、ホプキンス、メランドリと続き、中野の後ろ、グリッドと同じ10番手にロッシの姿がようやく見えた。できればスタートで何台か抜いておきたかったろうに。ヘイデンとは対照的に、こちらはいきなり劣勢に立たされちゃったよ。

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決勝スタート。ヘイデンは好スタート。ロッシは後ろから数えた方が早そう。
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乾燥地帯にあるラグナセカはレコードライン以外のコース上はいたるところに砂が浮きまくっていて、ちょっとでもレコードラインを外すと途端にタイヤはグリップを失うデンジャラス・サーキット。なのでバックストレート・エンドの名物コークスクリューに飛び込む頃には、MotoGPマシン群はすでに縦に長い列になっている。

オープニングラップをトップで通過したのはPPのバーミューレン。このコースの勝負どころの一つ、コース中最もRのキツイ最終コーナーでロバーツをパスしてトップに立った。
バーミューレンに続いて2位ロバーツ、3位ヘイデン、4位ストーナー、5位エドワーズ、6位ペドロサの順で2周目に突入する。ロッシは結局10位のままで帰ってきた。既にヘイデンとは2秒の差ができている。ここからどこまで追い上げられるだろう?

先頭をハイペースで逃げるバーミューレンに対して、2位ロバーツはなかなかペースが上げられないらしい。2周目0.775秒差、3周目0.827秒差、4周目0.895秒差。少しずつ差が広がっていく。
バーミューレンを追いたいヘイデンはロバーツとの差を詰め、すぐ後ろでパッシングのチャンスを伺っている。さらに4位ストーナー、5位エドワーズ、6位ペドロサ、7位メランドリまでが金魚の糞のようにヘイデンの後ろに続き、まだまだポジションが動く気配。

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コークスクリューを駆け下りるトップグループ。ヘイデンはすぐ後方。ロッシは?
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後方ではロッシが4周目に中野をパスしてようやく9位。苦しいねぇ。なかなか上位に上がってくることができない。4周目終わりの時点でヘイデンとの差はもう3.5秒にまで広がっちゃった。もう多分逆転は無理。こうなりゃせめて表彰台圏内にまでは何とか入って、ヘイデンとのポイント差を最小限に押さえたいところやね。

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ロッシはヘイデンの遥か後方。こんなところ走ってる場合じゃないのに
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序盤、激しくポジションを争っているのはメランドリとペドロサの2人。コーナー毎に順位を入れ替えながら前を行くエドワーズを追っている。
5周目の最終コーナーをうまく立ち上がったペドロサがホームストレートでメランドリに並びかける。ちょい鼻先の出たペドロサが6位、メランドリ7位の順で6周目に突入する。さらにペドロサはターン5でエドワーズもオーバーテイク。これで5位にまであがってきた。ペドロサはこのラップに、バーミューレンのPPタイムも上回るこのレースのファステストをマークした。ラグナセカでこれが初レースってホントかよ?やっぱりタダモノじゃないや、このルーキーは。

エドワーズを軽く捻ったペドロサに対して、メランドリはなかなかエドワーズを抜くことができない。エドワーズが蓋になってペドロサとの差がジリジリと広がっていく。
そういえば去年メランドリは1周目にリタイアしちゃったんだったっけ。じゃあしゃあないか。いやいや、ペドロサは今年初めてラグナセカ走ってんだから、そんなの言い訳になんないね。頑張れマルコメ。

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このところガチで勝負することの多い2人。今回はペドロサに軍配?
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トップのバーミューレンは依然快調。2位ロバーツとの差を毎ラップのように広げていく。6周目には遂に1秒を超えて、7周目には1.7秒にまで開いてしもうた。
ヘイデンもペースがあがらない。それどころかロバーツとのギャップが少しずつ開いていく。6周目に0.4秒、7周目には0.7秒に。おいおいどうしたヘイデン?足踏みするロバーツに付き合わされているうちにリズムがおかしくなっちゃったのか?
バーミューレンもいつもならここらあたりでズルズルと後退しだすんだけど、今回はえらい健闘してる。ここまでのところ、ヘイデンのラップタイムが23秒台と24秒台を行き来しているのに対して、バーミューレンは23秒台後半をずっとキープ。安定して速い。このまま逃がしていいのか、ヘイデン?

いや、いいわきゃない。チャンピオンになりたいなら絶対ラグナセカで勝たなきゃいかんだろ。勝つべきレースでキッチリ勝つ。これ、チャンピオンとしての絶対条件。ヘイデン、オマエさんの場合はここラグナセカが勝つべきレースだろうがっ!

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ロバーツに再び詰め寄ってきたヘイデン。勝ちたきゃ、とっとと抜け!
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そんなこたぁ言われんでも分かっとるわい!! とばかりにヘイデンが8周目にタイムを再び23秒台後半に入れてきたぞ。これでロバーツとの差を0.4秒にまで一気に縮めて再びテールトゥノーズ状態に戻してきた。

そして9周目。1位バーミューレンと2位ロバーツの差がついに2秒を超えた。完全にロバーツがヘイデンに蓋をしている状態だ。レースは序盤から中盤に差し掛かるところ。気がつけば4位ストーナー、5位ペドロサがすぐ後ろまで迫ってきた。もうさすがにヤバイ。

ターン7を回ってバックストレートに向かう2台。ヘイデンがピタリとロバーツの背後につけている。もう抜く気マンマンだ。バックストレートはコークスクリュー手前でちょっと左に折れている。ヘイデンはそこのイン側の縁石をショートカットして最短距離でコークスクリューに突っ込んだ!
インにヘイデン、アウトにロバーツ。ヘイデンが先にコークスクリューに飛び込んだ。そして切り替えし。ヘイデンが前、ロバーツが後ろ。ヘイデンが遂にロバーツをパスして2位浮上。残るターゲットは2秒先を走るバーミューレンただ1台。遠慮はいらない、とっとと行っちゃって~!

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ロバーツを抜いてバーミューレンを追うヘイデン。それを追う3位グループ。
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10周目。ロバーツを抜いたヘイデンのペースがアップ。早くもロバーツを離し始める。

ターン5でペドロサがストーナーをパス。ヘイデンが行くならオレも行く。こっちも全然負けてない。
最終コーナーでさらにロバーツまでもパス。でも立ち上がりで少しラインをオーバー。路面に積もったダスト(土埃)でリアをちょびっとホイールスピン。おかげで加速が鈍ってロバーツ、ストーナーに立て続けにパスされてしまい、結局元のポジションに逆戻り。まぁ、ここらへんがまだ若いところかねぇ?

なんて1人ゴチてたらホームストレートエンドのターン1でストーナーがロバーツのインを突いた! が、ここはアウトから先に加速したロバーツがなんとかポジションをキープした。と思いきや続くターン3への切り返しで今度は大外から再びアタック。今度は成功! ストーナーがロバーツを抜いて3位に浮上した。
と思ったそばから今度はペドロサが立ち上がりでロバーツをインからパス! 激しいなオイ! これでペドロサが4位、ロバーツ5位。立て続けに抜かれてジュニアちょっとカワイソウ(涙)

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ロバーツをパスした若手2人。ペドロサはコークスクリューでちょいミス。
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12周目。1位は依然バーミューレン。1.5秒後方に2位ヘイデンが迫ってきた。やっぱりロバーツを抜いたらペースがあがりはじめたヘイデン。ジワリジワリとバーミューレンとの差を詰めていく。
ヘイデンの約2.0秒後方には3位ストーナー、4位ペドロサ、5位ロバーツの3位グループ。序盤にペドロサとやりあってたメランドリは少し離れて6位を単独走行。そして7位はエドワーズ・・・・じゃなくてロッシじゃん! もうここまで上がって来てたんか!?
タイムを見てみるとロッシは実はトップ2台と変わらないペースで走ってる。メランドリとはまだ2秒強の差だけど、ペースからするとメランドリに追いつくのはもう時間の問題だ。あるいは3位グループにも追いつけるかもしれない。
タイトル防衛のためにはここがまさに踏ん張りどころ。がんばれ、ろっしふみ。

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7位にまで浮上してきたロッシ。スタートの出遅れが惜しい。
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13周目から15周目にかけて、ヘイデンが一気にバーミューレンとの差を詰める。13周目突入時に約1秒あった差は、14周目突入時には0.7秒、15周目突入時には0.5秒。もう完全に射程距離。そろそろトップが交代するかもしれない。

と、後方の3位グループでアクシデントが発生した。3位を走ってたストーナーが5コーナーでスリップダウン。RCVがクルクルと回りながらズザザザザーっとグラベルに突っ込んで派手に砂埃を撒きあげる。慌ててマシンに駆け寄るストーナー。マーシャルに手伝ってもらいながら再スタートを試みるけどジ・エンド。残念。
ストーナーはこれで2戦連続ノーポイント。速いことは速いんだけどねぇ。

さぁこれで1位バーミューレーン、2位ヘイデン、3位ペドロサ、4位ロバーツ、じゃなくていつの間にか追いついていたメランドリが4位でロバーツが5位。そしてロッシは6位にまでポジションアップしてきた。

ロッシは相変わらずいいペースで走っている。メランドリとロバーツのタイムが24秒台後半なのに対してロッシは24秒台前半をキープ。これはトップ2台と変わらないハイペース。15周目終了時には1秒あったロバーツとの差を、16周目にはコンマ3秒にまで縮めてきた。まだまだレースは分からんぞぉ。

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トップと同じペースで走るロッシは簡単に4位グループに追いついた。
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レースは折り返しを過ぎて17周目に突入。ロッシはロバーツとの差をコンマ1秒にまで詰めた。ホームストレートから1コーナー、2コーナー、そして3コーナー。ロッシがロバーツの後ろで仕掛けるタイミングを探っている。このラップで行く気かもしれない。

中継カメラがトップ2台に切り替わる。5コーナーの立ち上がり。トップを走るヘイデンを2位バーミューレンが追っている。

・・・え? ヘイデンがトップ?

なんだよ、いつのまにかヘイデンがバーミューレンを抜いてんじゃん! しかももうバーミューレンとの間に差ができてんじゃん! どこで抜いたの?
トップが入れ替わった瞬間の映像が再生される。どうやら3コーナーらしい。なんだかバーミューレンが失速したように見える。その隙にインからヘイデンがスパーンと前に出た。随分あっさりしたトップ交代だなぁ。
(バーミューレンはこの時、燃料系装置がトラブっていたらしいというのを後で知った)

最終コーナーを抜け、トップでホームストレートに戻ってきたヘイデンを地元観衆が大歓声で迎える。フロントをパワーリフトさせながら、母国GP2連覇に向けてヘイデンが加速する。

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ようやくトップに立ったヘイデン。このあと独走態勢に入る。
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トップに立ったヘイデンはここから独走態勢に入る。18周目終了時点でバーミューレンとの差はすでに0.9秒にまで開いている。たぶん、もうミスでもしない限りこのままフィニッシュまで逃げ切るに違いない。
こうなると興味はロッシがどこまで追い上げてこられるか、だ。

18周目の時点でロッシは6位。このままの順位でフィニッシュすると、1位ヘイデン25点、6位ロッシ10点でポイント差は41点にまで開く。仮に残り全戦ロッシが勝てたとしても、ヘイデンは残り6戦を2位3回、3位3回でチャンピオンになれる。今のヘイデンなら全然難しいレベルじゃない。ロッシとしては、もう2点でも3点でもポイント差を少なく抑えておきたいところだ。
2位バーミューレンとは6.7秒差、3位ペドロサとは4秒差、4位メランドリとは0.6秒差、そして目の前にいるロバーツとは0.2秒差。このペースなら4位メランドリまでなら喰えるかもしれない。4位フィニッシュならポイント差は38点。この点差なら、仮に残り全戦ロッシが勝てたとすると、ヘイデンは2位5回、3位1回でまとめなければならなくなる。こうなると多少はヘイデンにもプレッシャーがかかるかもしれない。

クレバーなロッシなら当然こうしたポイント計算をしながら走行しているはず。今ごろロッシの頭の中のコンピュータでは、どんな答えが弾き出されてるんだろう?

19周目、ロッシはまずロバーツを抜いて5位にポジションを上げた。これで暫定のポイント差は40点になった。

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ロバーツを抜いて5位にアップ。次の標的は4位メランドリ。
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(レビューその2へ続く)
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by oretch | 2006-08-28 01:10 | MotoGP

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