2006年 08月 28日
【MotoGP】第11戦 アメリカGP レビュー その2
20周目。トップ3の順位は変わらず。トップのヘイデンと2位バーミューレンは1.6秒差、2位バーミューレンと3位ペドロサは2秒差の間隔で20周目に突入した。ハイペースで飛ばすペドロサがジワリジワリとバーミューレンに近づいてくる。

4コーナー出口。ヘイデン、バーミューレン、ペドロサに続いて、メランドリとロッシの2台がテール・トゥ・ノーズ状態で立ち上がってくる姿をカメラが映す。ロッシはもうさっきから完全にメランドリの尻に貼り付いて激しくチャージしてる。そして緩い左カーブを抜けて5コーナーへの進入。ここでようやくメランドリのインをグサリ! ロッシがとうとう4位にまで浮上してきた。
これでヘイデンとの暫定ポイント差は38点。

バックストレートを駆け登り、コークスクリュー、S字を抜けてレイニーコーナーに達するころには、もうメランドリとの間に1秒近いギャプができてる。これはロッシが相当いいペースで走っているということだ。この調子なら、もしかしてもしかしたらバーミューレンやペドロサにも追いつけるかもしれないぞぉ。

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メランドリも抜いてとうとう4位。ロッシ、まだイケます。
Photo © Yamaha Racing Communications




22周目。レースは終盤戦に突入。依然快調なペースで逃げまくるヘイデンと2位バーミューレンとの差は2秒を越えた。逆に3位ペドロサはバーミューレンと1秒差にまで近づいてきた。ペドロサがバーミューレンを抜くのはもう時間の問題だね。

ペドロサはさらに22周目に0.8秒差、23周目0.5秒差、24周目0.2秒差と確実に差を詰めてきて、そして25周目の5コーナー、さっきロッシがメランドリを刺したのと同じ場所でインからバーミューレンをパス。2位に浮上。


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レプソル軍団1-2態勢。ヘイデンは当然としてペドロサはやっぱり強いわ
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA


バーミューレンを抜いたペドロサはペースを緩めることなくトップを走るヘイデンを追う。さっきとは逆にペドロサとバーミューレンのギャップがジリジリと開いていく。

そんなペドロサとバーミューレンを映すカメラのフレーム内に黄色いM1がチラチラと映るようになった。もちろんロッシだ。メランドリやロバーツを振り切ったロッシがハイペースで着々と迫ってきている。これはホントにホントに表彰台に届くかもしれない。

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敵地アメリカでも大人気のロッシ。必死でトップ3台を追走する。
Photo © edmo321


解説の宮城サンがアメリカでのロッシの人気上昇振りを紹介する。スタートで出遅れた時はどうなることかと思ったけど、レース後半に入ってからは激しい追い上げで王者の面目躍如と言ったところだね。アメリカは日本と並んで長くWGP不毛の地と言われていたけど、今ごろはアメリカの観客も「ロッシすげー!」とか思って興奮してるんじゃないのかな?

こうなったらロッシには行けるとこまで行って欲しい。やっぱりシーズン終盤のチャンピオン争いは面白くないといけない。そのためにはロッシが一つでもポジションを上げて1点でも多くポイントを獲得しておいてくんないとね。頼んだぞロッシ!


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4位にまで追い上げてきたロッシ。流石だ。でも、その頑張りも結局・・・
Photo © Associated Press / Yahoo!ITALIA


29周目。レースは残り4周。順位に変動は無い。1位ヘイデンは独走状態。2位ペドロサがそれを追っているけど、差はなかなか縮まらない。3位に後退したバーミューレンはさらにトップ2台から遅れをとって、そろそろ4位ロッシが追いついてくる頃だ。

カメラがトップ独走中のヘイデンを映す。ホームストレートを過ぎて1コーナー、“アンドレッティ・ヘアピン”へと突っ込んでいく。
カメラが最終コーナーにアプローチするロッシに切り替わった。2人はちょうどホームストレート1本分の差があるということだ。最終コーナーにフルブレーキングで飛び込んでいくロッシ。

ん? なんだろう? この違和感は?

いま何かロッシの前を横切らなかった?

もしかしてもうバーミューレンに追いついたんか?

ホームストレートを駆け抜けて1コーナーへとアプローチするロッシ。画面左隅に現在の順位が表示される。
1位ヘイデン、2位ペドロサ、3位バーミューレン、4位メランドリ、5位ロバーツ・・・・


え゙? ロッシが6位?


TV解説の宮城サンがロッシのラップタイムがここ数周でガクンと落ちていることを指摘する。ついさっきまで24秒台前半の安定したタイムでラップを刻んでいたのに、26周目に25秒台、27周目は26秒台、そして28周目にはなんと一気に28秒台後半にまで落ちていた。

おいおいおいおいまさかまたマシントラブルじゃないだろーな?

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突如ペース・ダウンしたロッシ。どうした!? なにがあった!?
Photo © Associated Press / Yahoo!ITALIA


残り3周。トップグループは30周目に突入した。
バーミューレン、メランドリ、ロバーツに続いてロッシも30周目に入った。

と、29周目のロッシのラップタイムがさらに落ち込んでいる。なんと29秒台だ。

ちょ、そ、それはもしかして・・・・(汗)!?








・・・と、次の瞬間、



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け、けむり!!!!!!
Picture © motogp.com



ロッシのマシンから煙!!



ガ━━(゜ロ゜)━━ン!!



ガ━━(゜ロ゜)━━ン!!


ガ━━(゜ロ゜)━━ン!!



カメラはヤマハのピットガレージに切り替わる。
呆然とモニターを見上げるヤマハのスタッフたち。

VTRに切り替わる。コークスクリュー進入口で突如白煙を噴き出すロッシのマシン。


あぁ、もう・・・



ざけんなヤマハ!!

凸(゚Д゚#)



                Oノ  ふざけんな!!(怒)      
                ノ\_・'ヽO.
                 └ _ノ ヽ
                     〉


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煙を噴出すYZR-M1。またもロッシを襲ったバッドラック。
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA


TV画面がトップを走るヘイデンに切り替わる。30周目を終え、31周目に突入する。残り2周。母国GP2連覇に向けてトップを快走する。
その後方からは2位ペドロサ、そして3位に浮上したメランドリが続く。
バッドラックに三たび襲われたロッシを尻目に、ライバル達は順当に高得点を積み上げるべくラストスパートをかける。

南カリフォルニアの照りつける太陽が作り出す光と影の強烈なコントラスト。
まさかラグナセカに、こんなにも残酷で鮮烈なもう一つのコントラストが用意されているとは思わなかったわ・・・・


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痛恨のマシントラブル。YZR-M1が吐き出す白煙がロッシの溜息に見える。
Photo © CRASHNET/ Yahoo!ITALIA


でも、ロッシは諦めない。

白煙を吐き出すマフラーを覗き込みつつ、それでもなおM1を走らせ続ける。
残りはもう3周を切っている。何台かすでにリタイアも出てるし、このままスローペースながらも完走さえすれば、何ポイントかは獲得できる。

ラップタイムは2分7秒台にまで落ち込んでいる。他のライダーの邪魔にならないよう、コースサイド間際をゆっくりと走り続けるロッシ。
そんなロッシの脇を後続車が次々とパスしていく。その都度ポジションを、ポイントを下げていくロッシ。でもその恥辱に耐えて、なお、いくばくかのポイントを獲得するために走り続ける。

こんなに無力で同情を誘うロッシは初めて見た。
でも全然カッコ悪くないぞ。


すっげーカッコイイぞ、ロッシ!


だけど・・・

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Photo © motogp.com


31周目の2コーナーの先。残り2周を僅かに切ったところで、もはや惰性すら失ったマシンをロッシは止めた。

ロッシ、リタイア。

ガックリと肩を落とし、マーシャルに運ばれていくYZR-M1を目で追うロッシ。
その脇を、最終ラップに突入したヘイデンが通り過ぎていく。

そして・・・

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母国アメリカGP2連覇。勝つべきレースで勝ったヘイデン。
Photo © DPPI / www.Moto-Live.com


チェッカーフラッグ。
レース中盤にトップに立って以降、そのまま独走で最後まで逃げ切ったヘイデンが昨年に続いて母国GPのファーストチェッカーを受けた。

2位には終盤ヘイデンを追い上げたペドロサ。レプソル・ホンダの1-2フィニッシュ。
3位にはメランドリ、4位には、以下バーミューレン、ホプキンスのスズキ勢が続いた。

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ペドロサは追い上げて見事2位フィニッシュ。
Photo © CRASHNET/ Yahoo!ITALIA


ヘイデンは母国アメリカGP2連覇を達成。さらにフルマークの25点を獲得してトータルを194点に伸ばし、リタイア、ノーポイントに終わったロッシとの差を51点にまで広げた。
残り6戦で50点以上の差。
ホームレースで、ヘイデンがまた一歩、初タイトルに近づいた。

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勝利に酔いしれ、咆哮するヘイデン。タイトルに向けて大きな一歩踏み出した。
Photo © Leon Diana Cromer / SUPERBIKEPLANET



マシンを止め、ガックリと肩を落としながらマシンから離れていったあの時、ロッシの目には果たして何が映し出されていたんだろう?

きっと、ヘイデンでもペドロサでも、まして壊れたYZR-M1でもなく、このリタイアによって失ってしまった何かを、ただ呆然とした想いで見つめていたんじゃないのかな?

それはいったい何?
完走できたら獲得できていたはずのポイント?
トラブルさえなければ得られたかもしれない表彰台?

それとも、もっと大きな何か・・・・?

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肩を落とし、コースを離れるロッシ。あの時、その目には何が映ってたんだろう?
Photo © Greenhorn Bighorn / SUPERBIKEPLANET



(レビューその3へ続く)
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by oretch | 2006-08-28 01:15 | MotoGP

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