2006年 09月 13日
【MotoGP】第12戦 チェコGP レビュー その3
「FASTER」「turn-8」に続くGP映画第3弾「The Lap」の製作が決定したそうですよ(嘘)

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ロッシV字回復でタイトル争いは再び混沌としてきた
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追うロッシの方が余裕の表情? かつてのチームメイト同士の大バトル
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■ ドミネーション

「先のことは誰にもわからないさ」

アメリカGPで今季3度目のリタイアを喫して開き直り発言してたロッシだけども、コメントの最後についてたのがこの言葉。
いやホント、チェコGPを終えてこの先どうなるのか分からなくなってきた。
ロッシ「今日はとてもいいレースができたし、ウイークを通じてとても良かった。終盤はペドロサとバトルになり何度も抜いたり抜かれたり。これは楽しかった。最終的に僕が前でゴールできたから、とくにね。チャンピオンシップのことを考えたときに、この2位は非常に重要だ。今はランキング3位だけれど、2位のペドロサ、1位のヘイデンとの差を縮めることができて本当に良かった。」
(ヤマハ発動機レース情報より抜粋)

このコメント読めば分かるように、案の定と言うかなんと言うか、やっぱりロッシはぜーんぜん諦めてなんか無かった訳だ。周りから無理だダメだ諦めろなんて言われれば言われるほどムキになるんだよね、”奴”は。
そう言えばF1への転向話の時だって、眉毛野郎に挑発されてムキになって言い返してたし。

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はじける笑顔! 輝く青春!
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今回復活の2位入賞。フルポイントは取れなかったものの次善の20点をゲット。ポイントリーダーのヘイデンが9位7点に終わったから、一気に13点も縮めることができた。結果、チェコGP終了時点でのポイントテーブルはこうなる。
1位 N・ヘイデン 201点
2位 D・ペドロサ 176点 (-25)
3位 V・ロッシ 163点 (-38)

5戦を残して38点差。今回のように2桁縮まるレースが4回続けば逆転だ。
う~ん、なんだかシーズン終盤はとんでもないことになりそうだなぁ。

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誰がギブアップって言ったって? 何時何分何秒、地球が何回まわった時?
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で も 、普通に考えればチャンピオン争いをしているような実力者同士の間で、1回のレースで点差が2桁も縮まるなんてことはそうそうあるもんじゃない。だから常識的に考えれば、まだまだヘイデンが圧倒的に有利だと捉えるのが妥当だ。

実際、シーズン後半に入ってからもヘイデンはかなり健闘している。

シーズン折り返してから表彰台を逃すようなレースが目立ってきたから、最近のヘイデンの印象として、”シーズン後半はリスクをとらずに無難にレースを纏めて、シーズン前半に稼いだ大量リードを守って逃げ切ろうとしている”ような印象を受けるけど、実際はその逆で、後半に入ってからもロッシとのリードを着実に広げてきている。
ここまでの12戦を3戦ずつ4つに区切って得点推移を比較してみるとそれがよく分かる。
      1-3戦  4-6戦  7-9戦  10-12戦    合計
-----------------------------------------------------
ヘイデン  52点   47点   54点   48点   201点
ロッシ    40点   25点   53点   45点   163点

印象としてはシーズン前半の貯金でリードを保っているようだけど、実際はこの表のようにシーズン後半も依然としてヘイデンはロッシを上回る成績を残している。だから、今回ロッシに一気に13点も差を縮められたとは言っても、依然としてヘイデンが圧倒的に有利であることは間違いない。

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あのスペンサー様イチ押しの逸材ってことで注目してきたけど、ようやく花開くかね?
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だけどね、なんか全然そんな印象を受けないんだよね。

過去のチャンピオン達の「チャンピオン直前」を思い返してみると、誰の場合でも、シーズン途中にはもう「今シーズンは彼のものだな」っていう空気というか雰囲気が流れていたもんだった。ロッシやドゥーハン、レイニーはもちろん、1年王者に終わったシュワンツだってクリビーレだって、ジュニアだってみんなそうだった。なのに今のヘイデンには、あの時、彼らに感じたあの空気がまだ全然感じられない。
もっと言うと、今もなおシーズンを確実に有利に戦っているにもかかわらず、むしろロッシの逆転の可能性の方が高くなってきたような気がするんだよね。
それはなぜか?

一番の原因は、ヘイデンがシーズンをリードしているという感じが全然しないから。
ポイントでは確かにシーズン序盤からずっとトップに立ち続けているんだけどさ、やっぱり一つ一つのレースで「ヘイデン強いなぁ」「ヘイデン速いなぁ」という印象がほとんどないんだよ。

今のヘイデンと昨年のロッシを比べてみると、そこには決定的に超えられない差があるように思える。それは例えばレースで2位とか3位のポジションを走っている時に端的に現れる。
ヘイデンが2位とか3位とかを走りながらライバルを追走している時って、たいてい「最後までついていけるかなぁ?」って感じの視線で観ている自分に気付く。一方、昨年のロッシはレース終盤までジベルノウを先行させるようなシーンが多くみられたけど、そんな時はいつだって「どうせ最後はロッシが勝つんだろ」と感じられた。
この差、この決定的なまでの印象の差が、今なお大量リードを保つヘイデンよりもロッシ優位と思える原因になっている。

ではこの印象の差はどこから来るのか?

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何がヘイデンに欠けているのか?
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かつてドゥーハンが口癖のように言っていた言葉がある。「ドミネーション」。辞書をひくと「支配、優勢」というような意味が書いてある。
昨年のロッシやかつてのドゥーハンに感じたものって、まさにコレなんだよ。上に書いたチャンピオン達の直前の空気、「今シーズンは彼のものだな」という感覚、これらも要はこのドミネーションってやつだと思うわけですよ。「どうせ最後は勝つんだろ?」と言うのは、そのシーズンを支配している真の強者に対するある意味での信頼感であり信用感のようなものだと思う。この信頼感、信用感というものを感じさせるのが、ドミネーションであり、チャンピオンたらんとする者が自ずと発するであろう雰囲気、空気なんじゃないかと思う。

で、ヘイデンにはこの「ドミネーション」ってやつが全く感じられないわけ。
今シーズンはヘイデンが支配している、とか言われても全然ピンと来ないわけですよ。
今一番「ドミネーション」を感じるのはやっぱり依然としてロッシなわけで、さらに言うとヘイデンよりもペドロサにこそそれを感じちゃったりしてるわけですよ。

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苦戦続きのシーズンだけど、結局シーズンを支配しているのはロッシ?
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下の表はチェコGP終了時点の今シーズンのレースリード実績の比較。これを見ると、ヘイデンから「ドミネーション」が感じられない理由の一端が分かる。
        優勝  リードレース(*1)  リードラップ/率(*2)
------------------------------------------------------
ヘイデン   2勝   4 (2位タイ)    29周/8.8% (5位)
ロッシ     4勝   6 (1位)      73周/22.2% (1位)
ペドロサ   2勝   4 (2位タイ)    40周/12.2% (3位)
メランドリ   2勝   4 (2位タイ)    22周/6.7% (6位)
カピロッシ  2勝   4 (2位タイ)    57周/17.3% (2位)
エドワーズ  0勝   2 (7位タイ)    33周/10.0% (4位)

*1 リードラップを獲ったレース数
*2 1位で周回したラップ数と全体(12戦で全308周)に占める率

勝ち星はロッシが1人だけ4勝。さすがだ。でヘイデンはと言うとペドロサ、メランドリ、カピロッシと並んで2勝。まぁまぁそれはいいとしよう。で、オレッチが見逃せないのはリードラップの少なさだ。ロッシやペドロサだけに負けてるならまだしも、1勝もしてないエドワーズにまで負けてるってどういうことよ?

ポイントテーブルを無視してこの数字だけ見て現在のランキングを推量した時、一体どんだけの人が「ヘイデンがトップ」って答えるだろう?
皆無でしょ。誰もこの数字だけ見てヘイデンがシーズンをリードしているなんて思わないでしょ。

そりゃまあ確かに、勝ち星と同じでリードラップだって多けりゃいいという問題じゃない。レース終盤までライバルを先行させて、最後のラストスパートでズバっと抜いて格の違いを見せ付けながら優勝、なんてぇのはドゥーハン以降の勝ち方の定番と言えば定番ではある。上に書いたように去年までのロッシなんかはこの作戦を好んで使っていたわけだし。

でもね、上でドミネーションとは空気と書いたように、結局は観る者の印象によるところが大きいと思うわけですよ。もちろん一番大事なのはポイントだし、次に挙げるとすれば勝ち星だろう。レースリードラップなんてのは所詮プロセスにしか過ぎず、いくら積み上げたって最後に勝てなければ1点にだってならないんだけど、それでもレースを観てる側の印象として、レースリードラップの多寡はとっても重要に思えるんだよね。

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この2人のバトルは単なるポジション争いじゃなくて、それ以上のものに思えた。
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なんだか書きたいことがいっぱいあり過ぎて収拾つかなくなってきたな・・・。
データ出して分析しつつ観る者の印象が大事って、なんか自分の頭も混乱してきたよ・・・。

まぁあれだ、要はさ、勝てってことですよ。

一つでも多く勝ってください、ってことですよ。結局のところ。
残り5戦、とにかくレースをリードしてください。そして一つでも二つでも多く、ロッシよりもペドロサよりも前でフィニッシュしてくださいってことですよ。

今シーズンは近年稀に見る接戦が毎戦のように繰りひろげられていて大変満足しているんだけど、でもその一方で、チャンピオンになるライダーには他を圧倒する速さ、格の違いを感じさせる強さ、っていうのを感じさせてもらいたい。この2つの期待が矛盾していることのは百も承知なんだけど、人一倍我侭なファンであるオレッチとしてはその両方が欲しいんだよね、やっぱり。
ヘイデン「MotoGPクラスの競争は厳しい。ラグナセカで勝っても、次のレースでは9位になってしまう。今年は、こういう苦い結果が何度かあったが、何度もばん回してきた。また、ばん回するよ。明日からの2日間テストがある。次のレースは大丈夫だ」
(ホンダWGP情報より抜粋)

期待してるぞ!

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もう余計なことは考えるな。とにかく一つでも多く奴より前でフィニッシュしろ!
Photo © MotherEarth / SUPERBIKEPLANET



■ タイトル争いをさらに面白くするカピとサテライト3人衆

いや参った。ペドロサ凄すぎる。ロッシ相手にあんなレースするなんて、君は巣晴らし過ぎる。

シーズン開幕前の予想では、ステップアップ1年目の今季はシーズン終盤に表彰台に立てればたいしたもんだ、程度に思っていた。ところが蓋を開けてみれば、アレよアレよの快進撃。時々若さゆえのポカをやっちゃったりしちゃったりもするけど、シーズンも終盤に差し掛かろうという時期にポイントランキング2位の位置にいるなんて、まったく予想外だった。

ペドロサ、オレッチは君を完全に見くびっていたようだ。ホントすいませんでした。

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完全に見くびってました。ほんとうに申し訳ありませんでした。
Photo © Honda Motor Co.


王者ロッシがヘイデンとのポイント差を一気に縮めたってことで、そっちの方ばかり注目しちゃうけど、実際はロッシよりもペドロサの方がタイトルに近いんだよな。
トップのヘイデンとは5戦を残して25点差。ということは、現時点でヘイデン以外に自力チャンピオンの可能性が残っているのはペドロサだけなんだよね。数字上はロッシもカピロッシもメランドリもまだチャンピオンの可能性が残っているけど、これらのビッグネームを差し置いてデビュー1年目から堂々とタイトル争いしてるんだから、印象としては2000年のロッシの時よりも衝撃的だよ。
これまでロッシvsへイデンにばかり注目しちゃってたけど、今シーズン残りレースはこの3人による三つ巴の戦いに目を凝らさないとね。

いやいや三つ巴じゃないな。ある意味トップ3人よりも残りシーズン注目すべき存在なのが、チェコでブッち切ったカピロッシと、ホンダのサテライト3人衆こと、メランドリ、ストーナー、ロバーツの3人だ。

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カピは今やGP一の大ベテラン。速さは全く衰えてない。まさに驚異。
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シーズン中盤もたついちゃったけど、マルコメも勿論ポスト・ロッシの1人。
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この連中も残りの各レースで誰かしら上位に絡んでくるのはまず間違いない。
もしロッシが勝ってヘイデンが他の5人にも遅れを取るようなことがあれば、たった1レースで16点も点差が縮まっちゃう。それが2レースも続けばタイトル争いは振り出しに戻っちゃうってんだから恐いし面白いよねぇ。

ヘイデンにすればホンダにチームオーダー発動してもらいたいところだろうけど、チェコGPを見る限りではホンダにそんな気は無いようだから(ホンダ偉い!)、ヘイデンにはたまらん状況だろうな。もちろん、ヘイデンにとって脅威ということはロッシやペドロサにとっては一層脅威なわけだから、今シーズン残りレースは、この4人の動きにも注目しとかんとね。

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お姉ちゃんたちも注目してる。
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■ 800ccマシンテスト

レース後にヤマハとドゥカティが800ccマシンのテストをしたらしいけど、タイムはどうだったんだろうね?

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ブルノに早くも登場した来季仕様のYZR-M1。
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別にこの時期にテストすること自体は早すぎるとは思わないけど、ヤマハはこれからが正念場だっていうのにテストしてる余力なんてどこにあったの?

もちろん来シーズンに向けて準備することは大事なことだけどさ、なんか今シーズンもう諦めましたってことじゃないよね?

それとも、今シーズンのマシンの問題点は全て解決済みだぜ、っていう自信の表れだったりして。だとしたらこれからのロッシの逆襲が楽しみ♪

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同じ失敗は繰り返さないように頑張ってください。
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それにしてもなんか現行マシンより800ccマシンの方がふくよかに見えるのは単に写真写りの問題? それとも何か秘密兵器ちっくな新機構を搭載してるのかな?


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チェコの秘密兵器。完敗です。
Photo © motogp.com

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by oretch | 2006-09-13 00:24 | MotoGP

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