2006年 10月 01日
【MotoGP】第14戦 オーストラリアGP レビュー その3

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決勝レースも晴れていたら、また違った結果になってたんだろうねぇ。
Photo (C) DPPI / www.Moto-Live.com


■ 降雨時のルールを変えるべき

タイトル争いのついて書く前にまずこれを書いておきたい。
FIMは降雨時のスポーティング・レギュレーションをすぐに変更すべきだ。今のようにライダーが各自で判断してマシンを乗り換えるというルールは、あまりに危険すぎる。

既に書いた通り、去年のポルトガルでも同じようなことがあった。その時もオレッチは現行のルールを再考すべきだとこのブログに書いた。今回のオーストラリアGPを観て、オレッチは去年ポルトガルGPで感じたことはやっぱり間違っていないと確信した。

オレッチは、ライダーが命を削ってチキンレースをするのを見たくはない。

去年のポルトガルGPではジベルノウがクラッシュした。今回はエドワーズがクラッシュした。どちらも大きな怪我をせずに済んだのは幸運だった。でも、次も幸運が続くとは限らない。

現代のビッグ・スポーツ・イベントにとってTVの放送時間を厳守することは絶対要件だというのは分かる。であれば、TV放送と安全性を両立するような策をなんとか考えることはできないか?

例えば、雨が降ってきたらF1のようなペースカーをコースに入れるというのはどうだろう?
レース時間が1時間半のF1に比べて、WGPの場合は一番長いMotoGPクラスでもその半分の45分程度しかない。だから、長々とペースカーを走らせておくわけにもいかないだろうから、ペースカーの周回数を例えば3周というように制限しておいて、その間に必ずマシン交換をすることを義務付けておく。
ペースカーが入れば、それまでの順位やタイムギャップは帳消しになってしまうから、仮にレース終盤にペースカーが入るようなことになれば、レースそのものの面白さはスポイルされてしまうかもしれない。でも、ライダーを失うことになるよりは遥かにマシだとオレッチは思う。

取り返しのつかないことになる前に、GP関係者は現行ルールの是非を今一度再考して欲しい。

Oretch Illustrated : 【MotoGP】第2戦 ポルトガルGP レビュー (2005/05/13)
Oretch Illustrated : WGPの降雨ルールとF1のタイヤ無交換 (2005/06/02)

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TV放映の進行の都合も分かるけど、だったら何かもっとやりようはないのかな?
Photo (C) CRASHNET / Yahoo!UK&IRELAND





■ ロッシとヘイデン、“勝った”のはどっちだ?

とりあえずロッシはヘイデンの前でフィニッシュした。
ロッシ16点、ヘイデン11点。5点縮めて、その差は21点になった。
ロッシ「セッティングが決まっていたからドライだったらもっと上へ行けたと思う。だから今日の3位は少し残念。でも天気のことは僕にはどうしようもないし、こんな状況で3位に入れたことを、むしろありがたく思わなくてはね。それに3位とはいえ、ニッキーとの差を詰めることはできたのだから良かったよ。」
「もちろんここで6勝目を挙げたかったけれど、素晴らしいファンの前で表彰台に上れたのだから嬉しい。これでポイント差は21。依然として大きな差だが、決して不可能ではない」
(ヤマハ発動機レース情報より抜粋)

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「依然として大きな差だが、決して不可能ではない」
Photo (C) DPPI / www.Moto-Live.com


確かに残り3戦で21点差なら、逆転は十分可能な範囲だ。ロッシとしては今回のレースで、ヘイデンとのポイント差を縮めるという最低限の目標は達成できたわけだ。

でもさ、全然本意じゃないでしょ、この結果じゃ。

ロッシとすれば当然優勝を狙っていたはず。過去5年連続優勝しているフィリップアイランドだけに、ロッシとしても相当自信があっただろう。
もしロッシが狙い通り優勝して、そして仮にヘイデンが5位で終わっていたとしたら、点差は自力で逆転可能な12点差にまで縮まるはずだった。

でも実際に縮められた点差は僅かに5点。マレーシアGP終了時点での点差「26」点を、オーストラリアGPも含めた残りレース数「4」で割った値である6.5点さえ上回れなかったわけだ。
チェコGP、マレーシアGPと2戦続けて二桁の点差を縮めてきたことを考えると、ロッシの追い上げの勢いが落ちたと言ったら言いすぎかな?

いや、たかが1.5点、されど1.5点。タイトル争いもいよいよ佳境に入ったこの切羽詰った時期、このたった1.5点の差を詰め切れなかったことが、後々響いてくることになるかもしれない。

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え?どうして?
Photo (C) Reuters / Yahoo!ITALIA


逆にヘイデンの側は、レース序盤はポイント圏外を走る悲惨な状況から、あそこまでポジションを回復できたわけだから、これはもう “棚から牡丹餅”的な奇跡的な幸運だったわけよね。
最後はロッシにうまくやられちゃったけど、ここ数戦、かなりな勢いで追い込まれてきてたわけだから、まだまだヘイデンの方にツキがある感じ。

こうして考えると、タイトル争いにおけるこのレースの“真の勝者”は、ポイントを詰めたロッシの方じゃ無くて、ほとんどポイントを詰めさせなかったヘイデンの方だったとオレッチは思う。

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レースでは負けたけど、タイトル争いではヘイデンの粘り勝ちだと思う。
Photo (C) DPPI / www.Moto-Live.com


また翌週には日本GPが待ち構えている。3週連続のこのフライアウェイ・ラウンドを終えて、再びヨーロッパに戻った時にロッシがどこまでヘイデンとの差を縮めらているか?

恐らく次の日本GPでのロッシの目標は、自力逆転可能な10点差以内にまで差を詰めることが目標だろう。一方のヘイデンはここで突き放して残り2戦を楽にしたいはず。

ロッシの思惑通りの結果が出るのか? それともヘイデンがまた粘って、ロッシの思惑を阻止するのか?

次の日本GPが、今シーズンの行方を決定づける天王山になりそうな予感ヒシヒシですなぁ。

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南半球でも大人気。世界中のファンが大逆転を期待してるけど、さてどうかなぁ?
Photo (C) CRASHNET / Yahoo!ITALIA



■ ペドロサ失速、マルコメ浮上、カピ脱落

レプソルのチームメイトは見事に明暗が分かれちゃった。
ペドロサ、どうした?
ペドロサ「雨が大降りになってからは、トップグループに合わせて走るようにした。しかし、バイクをチェンジするためにピットに入ったのだが、必要のない人たちでピットロードが混雑していた。それで時間をロスして、コースに戻ったときには何人もの選手に抜かれていた。レインタイヤはソフトすぎた。2周でタイヤが消耗してしまい、ペースをキープすることができなかった。」
(ホンダWGP情報より)

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問題の乗り換えシーン。確かに誰かが邪魔にはなっていたけど・・・
Photo (C) soup army / SUPERBIKEPLANET


レース序盤、ヘイデンが後方に沈んでいる間に自分はそこそこいいポジションを確保してたのに、雨が降り出したら途端に失速。マシン交換の時にマレーシアGPで負った怪我がハンディになったようだし、ピットに大勢の人が入り乱れて妨害されてしまったりとか不運な事情もあったらしい。それに交換したマシンのタイヤも完全にミスチョイスで、僅か数周で“終わった”とのこと。

でもさ、それにしてもあの失速ぶりはいくらなんでもヒドかった。
一体どうしちゃったのかね?
ウェットに苦手意識をもってんのはわかるけどさ、もう少しどうにかならんかったのかねぇ?

幸い15位に入って「1」点は確保したものの、ランキングではロッシ、メランドリに逆転されて4位にまで落ちてしまった。チェコGPでのロッシとの素晴らしいバトルを観て、ルーキーイヤーでもしや? と期待させてくれたばっかりだったのに・・・
「次のツインリンクもてぎは好きなコースだし、ここよりいいレースになることを期待している」
(同上)

まだまだ限界ってわけじゃないだろうから、残りレースでまた盛り返してもらいたい。

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まだまだ限界はこんなもんじゃないはず。
Photo (C) CRASHNET / Yahoo!ITALIA


ペドロサとは逆にマルコメは良かったなぁ! まさに起死回生の勝利!
メランドリ「信じられないレースだったが、自分にとっては最高の時間だった。フィリップアイランドでの勝利は、250ccでタイトルを取ったとき以来。最高の気分だ。
雨が降ってからは、集中して走った。バイクを換えたときは、まるでプレイステーションで遊んでいるような不思議な気持ちだった。
今日のレースは最高だった。チーム、Honda、ミシュランに感謝したい」
(ホンダWGP情報より)

「ボールが止まって見える」と言ったのは全盛期の王貞治だったっけ?
マルコメの場合は「プレイステーションで遊んでいるような」感覚になるわけね。フムフム。

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勝ち方を憶えたのかな? それとも“覚醒”したのかな?
Photo (C) Associated Press / Yahoo!ITALIA


シーズン序盤に2勝して、そん時は今季はこのままいっちゃうのか? って思ったけど、その後パッタリと勢い止まっちゃってたからねぇ。でも一応タイトルの可能性はずっとキープしてたんだよね。で、本人は全然タイトルも諦めてなかった。

マルコメって才能はあるけど、それを活かし切るほど度胸が据わってない気の弱い奴なのかなぁ、なんて思ってた。ロッシ兄貴にカマ掘られてもすぐ許しちゃったりしてたし。
でもどうしてどうして、実は結構ず太い神経してる奴なのかも。

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実は大胆な奴なのかもしれない。こんな無茶もするしねぇ。
Photo (C) Associated Press / Yahoo!ITALIA


ヘイデンとのポイント差はペドロサと同じく32点。残り3戦でこの差は厳しいけど、でもその残り3戦の場所を考えると、なんだか意外と善戦しそうな予感。
去年、次の茂木ではカマ掘られるまでロッシの前を堂々と走ってたし、最終戦のバレンシアではガチでロッシとヘイデンに勝ったし。

残り3戦、キーマンはマルコメかもしらんね。

タイトル争い残りの一角、カピロッシは残念ながら今回のレースでタイトル争いから脱落してもうた。残り3戦で45点差はちょっとキツイ。というか、もう無理だろう。
チェコ、マレーシアといいレースを続けてきてトップに急迫してきてたのにねぇ・・・

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シーズンのクライマックスのキーマンになるかもしらんね。
Photo (C) soup army / SUPERBIKEPLANET



■ 中野王子の快走はフロックじゃない。よね?

やってくれましたよ、中野王子。
結果はいつも通りだったけど、スタートからレース序盤のトップ快走は実に素晴らしかった!
やっぱり日本人ライダーがトップ走ると盛り上がりが違いますわな!
中野「今日はいいスタートが切れた。序盤、後ろのグループにリードを築けていただけに残念だった。ピットに入ってバイクを交換するタイミングも悪くなかった。ウェットになってからも、まずまずのフィーリングで走れていたのだが、路面が乾いて来てからは、ドライコンディションの部分で上手く走れなかった。結局8番手までポジションを落としたが、初めてトップを走ったし、次につながった。日本GPでは、さらに、いいレースをしたい。」
(カワサキモータースポーツ情報)

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まぐれでもなく、実力で勝ち取る表彰台は近いぞ。
Photo (C) DPPI / www.Moto-Live.com


雨が降ってきた時、ピットインの判断を誤って失速したのは残念だったけど、条件さえハマればすでにレースをリードできるまでにポテンシャルがアップしてたってことだ。
次は2年前に表彰台に立ったこともある茂木の日本GP。期待するなっていう方が無理でしょう。
期待してるで!


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Photo (C) soup army / SUPERBIKEPLANET

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by oretch | 2006-10-01 02:54 | MotoGP

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