2006年 10月 28日
【MotoGP】第16戦 ポルトガルGP レビュー その2
(その1からつづく)

ヘイデンとペドロサのクラッシュによって凍りついたエストリル・サーキットを、再び真っ赤に燃え上がらせるもう1つのスペクタクルがちゃんと用意されていたとは・・・

エリアスだ。

ヘイデンとペドロサが脱落した直後から、トップのキャメル・ヤマハの2台を上回るペースで急速に追い上げてきた。そして中盤に差し掛かる頃には、ついにエドワーズのすぐ背後にまで迫ってきた。

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トップを快走するロッシ。そのロッシに忍び寄る影・・・・
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA


意外な相手の突然の来襲に再びブロック態勢に入るエドワーズ。先頭を走るロッシとの距離を計りながら巧みにエリアスを抑えつける。



さらにエリアスの後方からもう一人の“刺客”が現れた。
ジュニアだ。
ヘイデンのクラッシュ直後には2秒以上後方にいたはずなのに、僅か数周で追いついてきた。

ここまでのペースを見ると、明らかにエリアスとロバーツのそれがキャメル・ヤマハの2台を上回っている。立て続けに襲い掛かってきた刺客の猛プッシュに、援護役のエドワーズは防戦一方に追い込まれる。

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エドワーズに襲い掛かるエリアスとロバーツ。エドは防戦一方。
Photo © low-talker / SUPERBIKEPLANET


レース折り返しとなる14周目の6コーナー。エリアスがエドワーズのインに飛び込んだ。
ブレーキングを我慢したためにラインがワイドに広がった。なんとか堪えてコース上に留まったエリアスが、ついにエドワーズの前に出た。
エドワーズもまだ負けてない。得意のシケイン入り口の切り返しでエリアスを抜き返した。エドワーズも必死でロッシをサポートする。

でも今回はエリアスの方に分がありそうだ。抜き返されてもエドワーズのテールにピタリと張り付いて離れない。コーナーのたびに見るからに危なっかしい突込みでエドワーズを揺さぶる。
そして翌周、同じ6コーナーで再びエドの前に出た。
防波堤決壊。ついにエドワーズ陥落。
それでも必死に追いすがるエドワーズを引き連れて、エリアスがトップを走るロッシの追走に取りかかった。

自己ベスト・タイムをマークしながらロッシを追い上げるエリアス。エドワーズを抜いた直後は2秒弱あったロッシとの差を、ラップを重ねるごとに確実に削り取っていく。
そしてレース終盤、とうとうロッシに追いついた!

追いついたらこっちのもんだとばかり、残り7周を切った22周目の1コーナーでエリアスがロッシのインに飛び込んだ!

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エリアスがロッシをオーバーテイク! 予想外!
Photo © DPPI / www.Moto-Live.com


虚をつかれたロッシはなすすべ無し。アッサリとエリアスがロッシの前に出た。TVカメラがグレシーニのピットガレージを映し出す。喜ぶスタッフ達。
小さく拍手して喜ぶクリビーレかわいい(笑)

序盤のアクシデントによって、ロッシにとってこのレースの目下のライバルはエリアスになった。
エリアスだなんて、ロッシにとっては意外な相手だ。だってエリアスはまだ表彰台に登ったことすらないんだから。

でも思い起こしてみれば、今季のロッシの苦境の始まりはこのエリアスだった。開幕戦の第一コーナー、つまり今シーズンの一番最初の最初でこのエリアスに追突されたことが全ての苦労の始まりだった。
そういう意味では、ロッシにとってエリアスは誰にも勝る因縁の相手なわけだ。
そう思えば、この段階でエリアス相手に戦うのも意味がある。このエリアスを倒すことで、ロッシは今季の苦境にケリをつけることができるのだ。すでにヘイデンには勝ったも同然。あとはエリアスを下して今季の苦しみの呪縛からの解放を成し遂げ、史上最大の大逆転劇の末に史上2人目の6連覇の偉業を達成するのだ。そしてその時、ロッシはWGPの歴史にその名を永遠に刻むことになるだろう。

って、なんなんだこのまるでドラマのような展開は!?
映画「FASTER」だってここまでベタな演出は無かったぞ。
でもこんなベタな展開、オレッチ大好き!
イケーッ、ロッシ!!

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因縁の相手との思いがけないバトル。エリアスを倒して今季の苦境の連鎖を断ち切るのだ!
Photo © Honda Motor Co.


23周目。残り6周。エリアスを先頭にテール・トゥ・ノーズでロッシが続く。
その後方には、エリアスを取り逃がしたエドワーズが、名誉挽回とばかりにトップ2台との距離を詰めてきた。トップ2台の間に割って入り、最後までロッシのアシストをする気なのか?
でもそのエドワーズのすぐ後ろにはジュニアが貼り付いてきてるじゃないか。或いはジュニアに追い立てられてやむなくペースアップしたってことか?
まぁどっちだっていいじゃまいか。おかげでトップグループは4台に膨れ上がった。2台より3台、3台より4台の方がバトルは面白に決まってる。
結局序盤のリードを活かして逃げ切れなかったロッシが悪いんだ。
シケイン通過するトップ2台を、エリアスのファンであろう少女がガードレールの内側から小躍りして見送る。

24周目。1コーナーでジュニアがようやくエドワーズの前に出た。エドワーズ完全陥落。

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エリアスとジュニアに挟まれて苦しいロッシ。大混戦、大乱戦の今季を象徴するよう。
Photo © low-talker / SUPERBIKEPLANET


レースは25周目に突入した。エリアスになんとか喰らいついていくロッシだけど、後方からはロバーツに急きたてられて実に苦しそう。さっきまでのエドワーズと同様、防戦一方といった状況だ。

ここでちょっと不思議な光景が。
エリアスが一瞬スローダウンした。ロッシが難なくエリアスの前に出る。すわ、エリアスにマシントラブルか!? と思いきや、どうやら問題は無さそう。すぐにロッシのテールに貼りついた。
TVがスロー再生を流す。
あ? エリアスがわざと譲ったのか? 王者に対してなんて不遜な奴なんだ!
まるでいつかの原田とロッシのバトルのように、互いに相手の出方を伺っているらしい。
解説のノリックが激怒する。「若者のくせになにやってんだよっ!(笑)」

そんなエリアスとロッシに「お前ら何やってんじゃ!?」とばかりにケニーが襲い掛かる!
エリアスを抜いて2位に浮上。ジュニア健在!絶好調!
で、テールカウルの羽は何?

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じゃれ合ってるエリアスとロッシに渇を入れるジュニア。かっちょいい!!
Photo © DPPI / www.Moto-Live.com


26周目。残り3周。トップグループの4台は依然としてダンゴ状態。ジュニアはずっとロッシのテールに貼り付いて隙を伺っている。このレースでKR211Vにはニューシャシーが投入された。エストリルのレーストラックにピタリと嵌ったってわけやね。
TVカメラがピットウォール・ブースの中でニヤリとするお父ちゃんを映す。オレッチもニヤリ。

そして27周目の1コーナー、ついにジュニアがロッシをかわしてトップに立つ。
ジュニアは去年のイギリスGP以来のレースリード。チーム・ロバーツにとってはキャリア初だ。
残り2周。トップを走るジュニアを、ロッシ、エリアス、エドワーズの順で追いかける。

ロッシにとっては難しいシチュエーションになってきた。ヘイデンはこのレース、ノーポイントに終わったんだから、ロッシはたとえ4位でフィニッシュしたって逆転できる。いや、エドワーズを前を譲ってくれるから3位には入れるだろう。でもそれだと、逆転できる点差は4点でしかない。最終戦で、ヘイデンが自力で再逆転できる点差だ。できればもう少し点差を開いておきたいところ。
でも無理してクラッシュでもしてたら元も子もない。ヘイデンとペドロサがあんなことになったのだから、ここはいつも以上に慎重にならなくてはいけない。
攻めるもリスクなら、守るもリスク。さて、ロッシはどういう判断を下すのか?

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幸せ一杯の展開から一点、難しい選択を迫られることになったロッシ。で、どうする?
Photo © CRASHNETR / Yahoo!UK&IRELAND


そしてレースはとうとうラストラップに突入した。泣いても笑っても最後の勝負。
最終コーナーをテール・トゥ・ノーズで立ち上がってきたジュニア、ロッシ、エリアスの3台が、ダンゴ状態でホームストレートを駆け抜ける。エドワーズは若干3台に遅れたか。

スタート&フィニッシュ・ラインを過ぎたところで、ロッシがジュニアのスリップから抜け出した!
ジュニアに並ぶロッシ!
1コーナーが迫ってきた。
ジュニアのインにロッシがマシンを並べてブレーキング。
サイド・バイ・サイド!
ジュニアが粘る!
と思ったらエリアスがさらにインからキタ━━━(゚∀゚)━━━ッ!!
リアを激しく揺らしながらジュニアのインを突く!
出た!
エリアスが前だ!
エリアスがジュニアとロッシをまとめてブチ抜いてトップを奪った!
と、ラインを乱したジュニアのインにさらにロッシが割り込んだ!
ロッシがジュニアの前に出た!
もう何がなんだかわかんネ━━━(゚∀゚)━━━ッ!!

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赤勝て白勝て黄色勝てーーーー。
Photo © DPPI / www.Moto-Live.com


エリアス、ロッシ、そしてジュニア。3台の攻防は最後の最後まで続く。
バックストレート・エンドの6コーナー。
このレース最大の勝負ポイントになったヘアピンでロッシがエリアスのインを伺う。
が、ここはエリアスが抑えた。
ジュニアもロッシの尻尾を掴んでいる。勝負はこの先のシケインだ。

6コーナーを立ち上がって続く右ターンの7コーナー。エリアスとロッシはテール・トゥ・ノーズ。
そしてもう1つ右のターン。
ロッシがさらにエリアスに詰めた。
そして左に切り替えしてシケインへ突入。
ってほれロッシがキタ━━━(゚∀゚)━━━ッ!!
ロッシがエリアスのインを突く!
そして今度は右に切り替えし!
うあっとロッシのラインが乱れた!!
エリアスがアウトから被せる!
前に出たか!?
いやロッシだ。
ロッシが前だ。
ロッシがなんとか前を押さえた。
あとは最終コーナーを残すのみ。
エリアスまだぜんぜん諦めてない。
ジュニアだってもちろんだ。
さぁ最終コーナーだ。
ロッシ、エリアス、ジュニアが塊になって飛び込んでいく。
長い長い最終コーナーを深いリーンアングルで回る3台。
一旦クリップを離れてラインがワイドに。
そしてまた二つ目のクリップに寄せていく3台。
ようやくコーナーの出口が見えてきた。
エリアスがロッシのスリップに入っているぞ!!
ロッシが身を伏せてフル加速!
エリアスもスリップに入ってロッシを追う!
エリアスがスリップから飛び出シタ━━━(゚∀゚)━━━ッ!!
エリアスがロッシに並びかける!!
並ぶ!
並んだ!
2台並んだ!
サイド・バイ・サイドだ!!

どっちだ!?

どっちだ!?


どっちだああああ!?



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Photo © low-talker / SUPERBIKEPLANET



!?



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Photo © motogp.com



エリアスだああああ!!


エリアス初優勝!


そしてロッシは2位!


ジュニアが3位!






なんてすごい


レースなんだ!!




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健闘を称え合ってるように見える二人。「てめー、憶えとけよ」
Photo © CRASHNET / Yahoo!UK&IRELAD


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3人とも満足そうな表情。
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA


いや実にいいレースだった。
これだからWGPファンはやめられないんだよね!





あ、途中からヘイデンのことすっかり忘れてた・・・ ('A`)
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by oretch | 2006-10-28 01:41 | MotoGP

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