2007年 06月 29日
【MotoGP】第9戦 ダッチTT(オランダGP) プレビュー
今シーズン前半戦を締める伝統のダッチTT。ヨーロッパ・ラウンドに入ればロッシが反撃する予定だったのが、蓋を開けてみれば好調ストーナーがロッシの得意なコースで2連勝と強烈な返り討ち。
WGP創生の時から、数え切れないほどのドラマを生んできたアッセン。魔物が棲むとも言われるファン・ドレンテで、今年はどんなドラマが見られるやら・・・・


■ アッセン・サーキット概要

オランダ北部アッセンの郊外の牧草地にあるサーキット。正式名称は「TT Circuit Assen」。GP初開催は1949年。つまりWGP創設の年から57年間、絶えることなくWGPが開催されてきた最も伝統と歴史のあるサーキット。「オランダGP」ではなく「ダッチTT(Tourist Trophy)」という名称を使用したり、6月最後の週の土曜日(宗教上の理由)に毎年開催される点もWGPのド定番中のド定番の伝統である。

古いサーキットの例に漏れず、ここも元々は一般公道を閉鎖して使用する公道サーキットの一つで、全長6kmを超える世界でも屈指の高速テクニカル・コースとして有名だった。が、近年のレース速度の高速化にと安全対策への対処から、ここ数年にかけて大規模な改修工事を敢行。2006年には遂に、数々の好バトルを生み出した “ノース・ループ”と呼ばれるコース北側が姿を消し、全長4,555mの全く新しいサーキットに生まれ変わった。

コースは左ターン6個、右ターン11個の合計17個のコーナーから成り、全長は短くなれど依然としてテクニカルなレイアウトを誇る。コースはタイトなコーナー主体の低速セクションから始まって、サーキットで最長のストレート区間、長さ560mのバックストレートへと続く。そこから先は旧来のコースがそのまま残されていて、高速コーナーがこれでもかと続く高速セクションに変わる。ピットエリアから最も遠い「Mandeveen」「Duikersloot」の2つのコーナーを抜けた先は特にダイナミックで、コースをぐるっと囲むように造成されている土手製の観客席の目の前を、カント(イン側に下る傾斜)のつけられたコーナーを右に左にマシンを倒しながら、200km/h以上の高速で駆け抜けていく。

パッシング・ポイントは1コーナーとバックストレート終わりの右コーナー。そしてホームストレート手前の最終シケイン。特に最終シケインは、これまで数々の大逆転劇を演出してきたこのコース最大の勝負どころ。最終ラップにシケイン出口からフィニッシュラインまでが短いので、もし混戦になったら、最終ラップのシケインを過ぎるまでは誰が勝つか予測不可!
昨年、最終ラップにC.Edwardsが痛恨のクラッシュを喫し、フィニッシュ・ラインまで残り僅か数十mのところで初勝利を逃したドラマは記憶に新しい。

シーズンの折り返しに近い時期に開催されること、そしてテクニカルなコースゆえのアクシデント発生率の高さもあって、ダッチTTはこれまでたびたびシーズンの行方を左右する重要なレースとなってきた。それゆえ、“ファン・ドレンテ(アッセン・サーキットの別名)には魔物が棲んでいる”と恐れられている。
さて今年、アッセンの魔物に取り憑かれるのは果たして誰かな・・・?

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Image © Aerodata International Surveys
© Europe Technologies / Google


 Adress : 9400 AD Assenm, Netherlands
 URL : http://www.tt-assen.com
 GoogleMaps : 52.958773,6.521544




■ Previous Data

2006 MotoGP Class Resault : 26Laps / Dry

Pos. # Rider (Nat.)      Makes; Team; Tyre Time/Gap (Grid)
-------------------------------------------------------------
[ 1] 69 Nicky Hayden (USA) Honda; Repsol; MI   42'27.404 ( 4)
[ 2] 56 Shinya Nakano (JPN) Kawasaki; Kawasaki; BS +4.884 ( 2)
[ 3] 26 Dani Pedrosa (ESP) Honda; Repsol; MI     +7.525 ( 5)
[ 4] 27 Casey Stoner (AUS) Honda; LCR; MI      +7.555 (12)
[ 5] 10 Kenny Roberts (USA) Roberts; Roberts; MI  +8.078 (10)
[ 6] 21 John Hopkins (USA) Suzuki; Rizla; BS     +17.065 ( 1)
[ 7] 33 Marco Meladnri (ITA) Honda; Fortuna; MI   +18.090 ( 7)
[ 8] 46 Valentino Rossi (ITA) Yamaha; Camel; MI   +23.951 (18)
[ 9]  7 Carlos Checa (ESP) Yamaha; Tech3; DL   +29.027 ( 8)
[10] 71 Chris Vermeulen (AUS) Suzuki; Rizla; BS   +31.627 ( 6)
[11]  6 Makoto Tamada (JPN) Honda; JIR; MI     +32.841 (13)
[12] 66 Alex Hofmann (GER) Ducati; Marlboro; BS  +34.143 ( 9)
[13]  5 Colin Edwards (USA) Yamaha; Camel; MI   +40.412 ( 3)
[14] 17 Randy De Puniet (FRA) Kawasaki; Kawasaki; BS +1'03.648 (11)
[15] 65 Loris Capirossi (ITA) Ducati; Marlboro; BS  +1'17.303 (15)

Pole Position : 21 John Hopkins (USA) Suzuki; Rizla; BS  1'36.411

Fastest Lap : 69 Nicky Hayden (USA) Honda; Repsol; MI  1'37.106

Event Maximum Speed : 26 Dani Pedrosa (ESP) Honda  302.8km/h

Race Leader Sequence :
 Lap 1  5 Colin Edwards; Yamaha
 Lap25 69 Nicky Hayden ; Honda


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昨年のMotoGPクラスの最終ラップ、最終シケインのシーン。
この直後、アウトから被せたヘイデンがコースオフ。勝利を確信したエドがアクセルオン。
が、直後グラスエリアに足元を掬われてクラッシュ。ヘイデンが逆転勝ちした。
Photo © DPPI / www.Moto-Live.com


【MotoGP】第8戦 ダッチTT(オランダGP) 結果 (2006/06/27)
【MotoGP】第8戦 ダッチTT(オランダGP) レビュー (2005/06/29)


■ 過去10年間の記録
※ ★印はその年のチャンピオン

Winner

 1997 Mick Doohan (AUS) Honda ★
 1998 Mick Doohan (AUS) Honda ★
 1999 岡田 忠之 (JPN) Honda
 2000 Alex Barros (BRA) Honda
 2001 Max Biaggi (ITA) Yamaha
 2002 Valentino Rossi (ITA) Honda ★
 2003 Sete Gibernau (ESP) Honda
 2004 Valentino Rossi (ITA) Yamaha ★
 2005 Valentino Rossi (ITA) Yamaha ★
 2006 Nicky Hayden (USA) Honda ★

Pole Position

 1997 Mick Doohan (AUS) Honda ★
 1998 Mick Doohan (AUS) Honda ★
 1999 岡田 忠之 (JPN) Honda
 2000 Loris Capirossi (ITA) Honda
 2001 Loris Capirossi (ITA) Honda
 2002 Valentino Rossi (ITA) Honda ★
 2003 Loris Capirossi (ITA) Ducati
 2004 Valentino Rossi (ITA) Yamaha ★
 2005 Valentino Rossi (ITA) Yamaha ★
 2006 John Hopkins (USA) Suzuki

Fastest Lap

 1997 Carlos Checa (ESP) Honda
 1998 Mick Doohan (AUS) Honda ★
 1999 岡田 忠之 (JPN) Honda
 2000 Max Biaggi (ITA) Yamaha
 2001 Valentino Rossi (ITA) Honda ★
 2002 Valentino Rossi (ITA) Honda ★
 2003 Sete Gibernau (ESP) Honda
 2004 Valentino Rossi (ITA) Yamaha ★
 2005 Valentino Rossi (ITA) Yamaha ★
 2006 Nicky Hayden (USA) Honda ★

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2005年に勝った時のロッシ。旧コースでの最後のGPだった。
当時のレビューには「ロッシが強すぎてツマンネー」てなことが書いてあった。
ゴロワーズ・カラーの懐かしさと併せて、僅か2年で隔世の感・・・
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA



■ 有力ライダー別過去5年間の成績

# ライダー名(国): 02年 - 03年 - 04年 - 05年 - 06年 
---------------------------------------------------
1 N.Hayden (USA) : NE - 11th - 5th - 4th - 1st
5 C.Edwards (USA) : NE - 7th - 6th - 3rd - 13th
21 J.Hopkins (USA) : NE - 15th - 14th - 13th - 6th
24 T.Elias (ESP) : 2nd** - 13th** - 3rd** - NE - NE
26 D.Pedrosa (ESP) : 1st* - 8th* - 2nd** - 2nd** - 3rd
27 C.Stoner (AUS) : 8th** - NE - 3rd* - 6th** - 4th
33 M.Melandri (ITA) : 1st** - NC - 3rd - 2nd - 7th
46 V.Rossi (ITA) : 2nd - 1st - 3rd - 1st - 1st - 8th
56 S.Nakano (JPN) : 8th - 13th - NC - 8th - 2nd
65 L.Capirossi (ITA) : NC - 6th - 8th - 10th - 15th
71 C.Vermeulen (AUS) : NE - NE - NE - NE - 10th

※ NE=Not Entry、NC=Not Classifyed、NS=Not Start、NFF=Not Finish First-Lap
※ *=125cc、**=250ccクラス時代の成績


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今年もA-Styleガールズは登場するのかな?
リズラ・スズキのミニスカ・ポリスとの対決が楽しみだ♪
Photo © DPPI / www.Moto-Live.com



■ データ分析と独断予想

天気予報によると、決勝日の土曜日は雨。
前戦イギリスGPでは、ブリヂストンのウェット・タイヤ性能に完敗したミシュラン。まさか1週間足らずでキャッチアップできるはずもなく、もし予報通り雨だとすれば、ブリヂストン勢優位になることは間違いない。

となれば、マシン、タイヤ、ライダーのパッケージが現在完璧の域に達しつつあるストーナーが当然優勝候補の最右翼になる。
ストーナーが“3タテ”(3連勝)で一気にロッシを突き放す可能性が高い。

と思いきや、イギリスGP後のロッシにコメントで気になる点があった。
「残念だけど、今日はコンディションがまったく味方になってくれなくて、問題だらけだった。完全にドライだったら最高のパフォーマンスを発揮できただろうし、逆に完全にウェットでもかなりいい走りができたと思うんだ。でも、今日みたいにコースが乾いていくコンディションでは本当にきびしいんだよ。」
(OCN SPORTS 記事より抜粋引用)

オレッチは、ミシュランはウェット全般での性能で劣ると思ってたけど、どうもそうではないらしい。ロッシ曰く、フル・ウェットならミシュラン=ロッシ陣営にもそれなりに勝機があるらしい。

色々調べてみると、ドニントンではスタート直後に雨が上がり、周回ごとに乾いていく路面にミシュランのコンパウンドが対応できなかったのが敗因だった模様。てことはロッシの言の通り、もしレース中ずっと雨が降り続けるようなら、ロッシにもチャンスがあるのかもしれない。

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2輪レースでこれほど熾烈なタイヤ戦争は久しぶりだな
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA


Yahoo.comで天気予報の詳細を見てみよう。

お、アッセンの土曜日の天候は「Showers」となっている。
どうやらロッシにも運が向いてきたかな?

ん? でも、ずっと雨降りコンディションだったフランスGPでもミシュランはブリヂストンに完敗してなかったっけか?

いや、もう一つロッシに有利なポイントがある。もし本当に雨が降るとなれば、ポイント首位ストーナーが慎重な走りになる可能性が高いことだ。
ロッシに大量26点差をつけている状況で、リスキーなウェット・コンディションでわざわざ無理をして勝ちを狙いにくるとは考え難い。まして舞台は毎年予想外のドラマが起こる魔物の棲むアッセンなのだから、ドゥカ陣営はなおさら慎重になるはず。

実際、オージーにとってアッセンは度々鬼門になってきた。

1987年にオージー初の最高峰クラス王者となったガードナーは、まだプライベータ時代の1983年にオランダGPで地獄を見た。決勝レースで、前年王者ウンチーニを轢いてしまったのだ。
転倒してコース上に投げ出されたウンチーニは、四つん這いになりながら急いでコース外へ退避しようとしていたところだった。そこに運悪くガードナーが差し掛かり、ガードナーのマシンはルッキネリの頭部を直撃。その衝撃で、ルッキネリの身体は竹トンボのようにクルクルと回転し、そのままコース外のグラスエリアに叩きつけられた。その時の様子は衝撃映像として世界中に配信されるほどショッキングなもので、この事故にショックを受けたガードナーは、一度はレースからの引退を決意したほどだった。

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周囲に励まされ、なんとかレース界に踏みとどまったガードナー。
4年後の1987年、見事オーストラリア人として初の王者に輝いた。
写真は初めてワークス入りした1985年のもの。ロスマンズ・カラーがカッコイイ(゚∀゚)!
Photo © www.amkhorice.cz


そしてオージー2人目の王者、90年代の帝王ドゥーハンもまた、アッセンで地獄を見た一人だ。1992年、その年の前半はドゥーハン&ホンダの独壇場だった。後に“ビッグ・バン”エンジンと呼ばれる新開発のエンジンを搭載したホンダNSR500は、ドゥーハンの巧みなライディングと相まって圧倒的な速さを発揮し、シーズン前半7戦で開幕4連勝を含む5勝をマーク。ポイント2位レイニーにダブルスコアをつける圧倒的なリードを築いて、折り返し点となるダッチTTに乗り込んできた。
が、好事魔多し。予選でドゥーハンは大転倒。右大腿骨を複雑骨折してしまう。シーズン後半4戦を欠場したドゥーハンはその年のタイトルを失うことになった。さらに、事故直後に運び込まれた病院の処置が悪かったために、その後もドゥーハンは後遺症に悩まされることになる。結局初タイトル獲得は、アッセンでクラッシュした2年後の1994年まで待たなければならなかった。

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1992年のダッチTTでクラッシュし、病院に移送された時のドゥーハン。
まさかこの後、オランダのヤブ医者にヒドイ目に遭わされることになるとは・・・
Photo © motogp.com


このように、オージーにとってアッセンはまさに不吉な場所。
きっとクレバーなストーナーなこと、もし勝利に飢えてるロッシとガチでやりあうことになったなら、故郷の先輩達の不幸を思い出して自ら引くに違いない。

どうやら、週末の雨はロッシにとって恵みの雨となりそうだ。

ということで、オレッチの優勝予想は本命ロッシ!

そして対抗はストーナー!

・・・といきたいところだけど、ここは敢えて昨年PPを獲ったホプキンスにしておこう。チームメイトに先を越されて、今ホプキンスはロッシ以上に勝利に飢えているはずだから。

ストーナーは、「君子危うきに近寄らず」ってことで、危険な連中には近づかず、ゆとりをもって3位表彰台あたりに滑り込めば上々だろう。その辺あたりのポジションにいれば、ロッシとホッパーがムキになって戦って共倒れでもしれくれた時に漁夫の利を得られてウハウハだしね。


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そろそろ日本勢にも頑張って欲しいな。頑張れ!永井先輩が見てるぞ!
Photo © JIR / Motorsport.com

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by oretch | 2007-06-29 21:39 | MotoGP

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