2007年 09月 30日
【MotoGP】第14戦 ポルトガルGP レビュー(後編)
※ 【MotoGP】第14戦 ポルトガルGP レビュー(前編)から続く


レースは折り返しを過ぎて後半戦に入った。
トップグループは依然として膠着したままだ。

そのトップ・グループに、後方から1台のマシンがジワリジワリと近づいてきた。

ヘイデンだ。

レース序盤はペースが上がらず後退したが、中盤から勢いを取り戻して、ファステスト・ラップを叩き出しながら再びトップ・グループに迫ってきた。一時はトップと3秒以上あったギャップが、16周目終わりには1.5秒を切っている。

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膠着状態のまま後半戦に入ったロッシ、ペドロサ、ストーナーの3台。
ペースが上がらないトップグループに、後方からヘイデンが迫ってきた。
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA





このヘイデンの動きに素早く反応したのは、またもペドロサだった。16周目、1コーナーでロッシのインを鋭く差してオーバーテイク成功。ペドロサが再びトップに立った。

あっけなくトップを譲り渡したロッシ。今度はペドロサをテールからピタリとマークする。ペドロサはタイムを37秒台に揃えてペースアップし、必死にロッシを振り切ろうとするが、追走するロッシには余裕さえ見える。
立場が再び逆転した。

やっぱり、さっきまでの膠着状態には何か狙いがあったんだ。

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膠着状態に陥ったトップ・グループに、ヘイデンがヒタヒタと迫ってきた。
ヘイデンの登場で、俄かにトップ・グループが動き出した。
Photo © Yamaha Factory Racing Team

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へイデンに追いつかれたら面倒になると察したペドロサが、ロッシをパスして再びトップに。
今度はロッシがペドロサを後ろからプッシュする。ロッシの狙いの何なんだろう?
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA



ヘイデンの登場で遂に動いたトップ・グループ。でも、変化はこれだけじゃなかった。
3番手のストーナーがジリジリと遅れ始めた。

ストーナーは何かトラブルを抱えていたのかもしれない。一人だけタイムも38秒台後半に落ちている。変わらずテール・トゥ・ノーズでバトルを続けるトップ2台との差はラップを重ねるごとに開いていく。そしてレースが終盤に差し掛かる19周目には、遂に約2秒にまで拡大。完全に優勝争いから脱落した。さらにヘイデンにも追いつかれた。

タイトル決定が、また一歩遠のいた。

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ストーナーは、実はレース序盤からエンジン・ブレーキにトラブルを抱えていた。
テール・トゥ・ノーズでバトルを続ける2台から、徐々に引き離されていく。
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA



レースは終盤戦に突入した。
ストーナーの脱落で、トップ争いはペドロサとロッシのマッチ・バトルに変わった。

トップに立つペドロサは、ロッシをなんとしても引き離そうとアグレッシブに攻める。ロッシも負けじとプッシュして、時折ブレーキングで並びかけながらペドロサとの間合いを計る。

毎周のように、ホームストレートを一つの塊となって駆け抜ける2台。2人のギャップは、

 20周目 0.076秒
 21周目 0.056秒
 22周目 0.085秒
 23周目 0.061秒

コンマ1秒を超えることがない。

う~ん、なんかすげぇバトルになってきたぞ。
このところストーナーの独走レースに慣らされていただけに、ペドロサとロッシの2人の緊迫したバトルに再びテンションが上がるオレッチ。

ストレートのトップ・スピードはややペドロサが有利。でもブレーキングとコーナーリングではロッシの方に分がありそうだ。こうなると前を走るペドロサは辛い。後ろからじっくりとロッシに観察されて、徐々にその鎧が剥がされていく。

そして24周目の1コーナー。ペドロサがブレーキングでミス!
ロッシがインを差す!

逆転!

ロッシがトップを奪回した。ペドロサ万事休すか?

っと、今度はロッシがターン6でミスをした!

ペドロサがまた抜き返す!


  _   ∩  ロッシ!ダーニ!
( ゜∀゜)彡 ロッシ!ダーニ!
 ⊂彡


目が離せねー!!


おっと、ペドロサとロッシの攻防に気をとられていた隙に、気がつくと後方からストーナーが迫ってきてるじゃないか!?
一旦は後退したものの、ヘイデンを振り切って再びペースを取り戻したらしい。

トップ2台がバトルに夢中でペースが安定しない間に、ヒタヒタと迫ってくるポイント・リーダー。
いよいよ大詰めってところで再び役者が揃うって
どんだけええええええええ!?


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ペドロサとロッシのマッチ・バトルになったレース終盤。
2人の天才による一進一退の攻防。極限のバトル。
Photo © Honda Motor Co.

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トップスピードを活かして逃げるペドロサ。ブレーキングとコーナリングで詰めるロッシ。
でも、前を行くペドロサを後ろからじっくりと観察するロッシが、徐々に主導権を握っていく。
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA

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へイデンはストーナーを捉えた直後、痛恨のミス。
ここまでの追い上げでタイヤは限界を超えていた。
ヘイデンを振り切ったストーナーが、再び前を行く2台との差を詰める。
Photo © Ducati Motor Holding S.p.A.



レースは26周目、残り3周。ホームストレートをテール・トゥ・ノーズで駆け抜けるペドロサとロッシ。

その差は依然としてコンマ1秒を切る僅差だ。1コーナーでは意地の張り合いをしているかのように深いブレーキングで牽制し合い、高速コーナーでは暴れるマシンをねじ伏せるように攻めたてる。

逃げるペドロサ、追うロッシ。2人とも、いよいよ勝負どころと見て最後の力を振り絞ってアタックする。

そしてレースは残り2周を切った。
最終コーナーからフィニッシュ・ラインまでが長いエストリルでは、最終ラップで前に出ている方が不利になる。去年ロッシは、最後の最後にエリアスに逆転された。もし逃げを打つなら、ここで仕掛けて少しでもギャップを広げておく必要がある。

案の定、ロッシが1コーナーで勝負に出た。

ペドロサのスリップから横っ飛びに飛び出した!

レイト・ブレーキングでペドロサのインを差す!

前に出た!

でも止まりきれない!
ワイドラインで苦しそうに旋回するロッシのインをペドロサがすり抜ける!

ロッシのアタック失敗!
ロッシ、万事休すか!?

・・・・・いや、ロッシは諦めてない。右の2コーナー、さらに右の3コーナーと、マシンにムチ打ってペドロサとの差を詰める。そしてヘアピンの4コーナーを立ち上がって、バックストレートで再びペドロサのテールに喰らいついた。

緩い5コーナーをペドロサのスリップに潜り込むと、6コーナーで再び究極ブレーキング!

抜いた!

逆転!

ロッシが再びトップを奪い返した!


そしてレースは27周目を終えて、最終ラップに突入した。
でもホームストレートを駆け抜けるロッシとペドロサの差は依然として僅か0.170秒しかない。
まだレースは1周残っている。ペドロサは全然諦めてない。
ラスト・スパートをかけるロッシを、ペドロサはなおも必死に追走する。
1秒後方を走るストーナーも、スロットルを緩めるつもりはなさそうだ。

これぞレース!

これぞ“Che Spettacolo”!! (古っ!><)

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コンマ1秒以内の緊迫したバトルを続けるペドロサとロッシ。
絶対負けられないレース。互いに一歩も引く気は無い。
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA

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そして、ペドロサの走りを遂に見切ったロッシが最後の勝負を掛けた!
再々逆転!遂にロッシがペドロサを抜いてトップ奪還!!
Photo © motogp.com

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残り1周。タイトル奪回の僅かな可能性に向けてロッシが渾身のラスト・スパート!
Photo © Yamaha Factory Racing Team



そしてラスト・ラップの攻防を終え、最初にホームストレートに戻ってきたのはロッシだった。

最後の最後にペドロサを振り切ったロッシが、実に約3ヶ月ぶりとなる今季4回目のファースト・チェカーを受けた。
フィニッシュ・ラインを超えたロッシのハシャギっぷりから、シーズン後半に入ってからの苦労と、この勝利の嬉しさの大きさが伝わってくる。

ロッシの僅か0.175秒後、ペドロサがフィニッシュ・ラインを通過して2位のチェッカーを受けた。オープニング・ラップでリタイアした前戦より遥かにマシとは言っても悔しいだろうな。

そして3位には最後まで粘りを見せたストーナー。タイトル目前でもう無理する必要が無いのに、それでも最後まで追い上げを見せたのは流石。

以下、4位に終盤力尽きたヘイデン、5位メランドリ、6位ホプキンス、7位チェカ、8位エリアス、9位カピ、10位エドワーズと続いた。
予選好調で期待されたタマヤンは、決勝レースでは調子が上がらず終始10位前後を走行。結局、レース終盤にクラッシュして悔しいリタイアに終わった。残念。

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最後の最後でペドロサを振り切ったロッシが今季4回目のファースト・チェッカー。
残り全戦優勝宣言したロッシが、まずは公約通りに一つ目のレースを制した。
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA

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勝利を誇示するかのように高らかとウィリー。
Photo © Yamaha Racing Communications

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最終ラップのタイムは、ロッシが1分37秒700、ペドロサが1分37秒705。
異なるマシン、異なるライディング・スタイルの2人の差が
最後は僅か千分の5秒差。まさに至高のバトル。
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA

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久しぶりにストーナーに勝って大ハシャギのロッシ。
「( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!オレに勝とうなんて100年はえーんだよ!」
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA

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ハイ、ポーズ!
Photo © CRASHNET / Yahoo!ITALIA



決勝レース後のライダーのコメント。
優勝:ロッシ「今日の勝利は、いろいろな意味でとても重要。今季4度目で、ずっと表彰台さえなかった後だけに、本当に感動的だ。
今日はタイヤもマシンも好調。ニューエンジンもよく走ってくれて、ストレートではホンダやドゥカティのスリップストリームに入ることができたし、彼らに並んでいくこともできた。タイヤさえうまく機能してくれればトップ争いができるということを、ここでまた証明できたと思う。
ケイシー、ダニとのバトルはすごかった。最初にダニをパスしたときは、そのまま逃げようと考えていたが、彼のほうも絶好調。戦いが終盤まで続くだろうということがすぐにわかった。最後には彼がちょっとスライドし始めて、僕のほうはブレーキングで彼に勝てるところがあったので、抜くことができた。最後から2周目の最終コーナーを立ち上がったときに、昨年ここでどうやってタイトルを逃したかを思い出してしまった。だから次からはもっと十分に引き離さないとダメだね!
今日は素晴らしい日になった。そして、シーズンを最後まで戦い続けていくために自信になった
(ヤマハ発動機ニュース情報より抜粋引用)

2位:ペドロサ「今日は優勝争いのレースができてうれしい。ペースは速く、そのペースを最後までキープすることができた。いままでできなかったことなので、大きな進歩を感じた。
スタートはよかった。序盤から全力でプッシュしたことで、いいリズムをつかむことができた。ストーナーを抜き、その後、ロッシにかわされたが、ロッシが全力で走っていないことが分かった。後ろに、ストーナーとヘイデンがいたので、前に出てペースを上げることにした。終盤、彼が抜いていったとき、全力で追ったが、抜くことはできなかった。
勝てなかったのは悔しいが、いいレースができた。来週のもてぎは大好きなサーキット。ベストを尽くしたい」
(ホンダWGP情報から抜粋引用)

3位:ストーナー「この結果には満足。ただ、レースの前にはもっと高い成績を期待していたし、少なくとも最終ラップでは優勝争いがしたかった。
セッティングはすごくいい仕上がりだったけど、5周目あたりでクラッチに問題が出始めた。そこからはエンジンブレーキがかからなくなり、大回りをしない事にはまわりと同じようにブレーキを遅らせる事ができなくなった。終盤に入ってからはまたいいリズムで走れるようになり、前の2人に近づけた。彼らと戦うだけの体力は十分に残っていたけど、バイクの感触が今ひとつだったし、すでに残りの周回数が足りなかった。
ずっと速く走れていたのに今日は問題が発生してしまったけど、来週になれば調子は戻ると思う。」
(インテリマークMotoGP速報より抜粋引用)


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素晴らしいバトルを見せてくれた今日の主役の3人。ようやく役者が揃ったって感じ?
今季はあと何回、こんなバトルを見せてくれるかな?
Photo © Yamaha Factory Racing Team

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次はロッシとストーナーの一騎打ちが見てみたい。
Photo © Yamaha Factory Racing Team



レース中盤のロッシの怪しげな動きは、やっぱりレース後半での勝負を睨んでの駆け引きだったのね。
でも本当は、ロッシにはもっと深い狙いがあったように思えるんだな。

レース序盤、前を行くペドロサとストーナーを追い上げる途中で、ロッシはきっと、ヘイデンが好調なことと、ストーナーがトラブルを抱えていることを見破っていたに違いない。そこでロッシは、先頭に立ってレースを支配できるようになったところで、わざとペースを抑えて、後方からヘイデンが追ってくるのを待っていたんじゃないかと思う。
たとえストーナーに勝っても、2位にストーナーが入れば縮まる点差は僅か5点。でも、間にペドロサ、ヘイデンの2人を挟めば倍以上の12点も縮めることができる。

ロッシの武器は卓抜したライディング・テクニックだけじゃないからね。それ以上に、こういう狡猾さこそがロッシの本当の強さだからね。

結局ヘイデンが力尽きて作戦は不調に終わったけど、それでもロッシがまだタイトルを諦めていないことが分かった。
普通に考えれば、タイトル争いはもうとっくにケリがついているけど、ロッシ本人がまだ諦めてないなら、それはそういうことなんだろう。

残り4戦、楽しくなったきたぜ。


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誰が諦めたって言った?え、オレ?そうだっけ?忘れたよ。うひひ。
Photo © DPPI / www.Moto-Live.com

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by oretch | 2007-09-30 02:04 | MotoGP

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