前半戦の天王山になるかと思いきや、あのアホんだらのおかげで・・・・ 無残な姿を晒すライコネンのF2008とハミルトンのMP4-23。 Photo © DPPI / www.F1-Live.com 登り調子のクビサが大混乱に陥ったレースを制して初優勝達成! Photo © f1grandprix.it ■ Race Review 昨年はここカナダでハミルトンが初優勝を達成した。その一方、フェラーリ勢は作戦ミスと不運が重なって大ブレーキ。明暗が分かれた。 前戦モナコGPの結果を見ると、なんだか去年と状況が似ているな、なんてことを思いながら今年も迎えたカナダGP。 まず予選でPPを獲得したのは、昨年ここで初優勝したハミルトン。PPは6戦ぶり今季2回目。去年はポール・トゥ・インも決めてるから、今年もレースはハミルトン中心の展開になりそうだな。 ハミルトンとフロントローを分け合ったのはクビサ。フロントローは今季3回目。BMWエンジンは相性のいいサーキットっていう印象がある。初優勝狙ってけ。 2列目にはライコネンとアロンソの新旧王者が並んだ。どちらもハミルトンとのタイム差は1秒近い。アロンソはともかく、ライコネンにとっては予想外に大きいギャップ。 僚友のマッサは3列目6番グリッドに沈んでるから、決勝レースではフェラーリ勢は苦しいことになりそうだな。 我らが中嶋Jr.は2Q止まりの12番グリッド。僚友ロズベルグが5番グリッドの好位置につけてるだけに、もう少し頑張って欲しかった。 去年ここで初優勝と初ポール・トゥ・ウィンを飾ったハミルトンがPP。 このコースとの相性はバッチリ。 Photo © McLaren Group 2番グリッドをゲットしたのは目下ノリノリのクビサ。 ハミルトンとは逆に、去年はここで最悪の目に遭ったのに。さすがF1ドライバーの神経は図太い。 Photo © BMW Sauber F1 前戦モナコで無様な姿を晒した王者は2列目3番グリッド。 ハミルトンのタイムとは大きなギャップがある。決勝での強さを今回は発揮できるか? Photo © Ferrari S.p.A. 燃えるようなアタックで2列目4番グリッドをゲットしたアロンソ。 思い通りに走らないクルマで頑張ってる。やっぱ実力は依然ピカ一。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com 圧倒的な速さでPPをゲットしたハミルトンと、大健闘して4番グリッドのアロンソ。 これが昨年は僚友だった二人の今の状況。レースの世界はシビアだねぇ。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com 決勝はドライ。気温はほどほど。 シグナルが消えて真っ先に飛び出したのはPPのハミルトン。そのまま順当にホールショットを奪い、クビサ、ライコネンが続いていく。ロズベルグがアロンソの前に出て、マッサは6番手のまま。 トップのハミルトンは序盤からファステスト連発のハイペースでグングン飛ばし、後続を引き離していく。上位陣の隊列は順位が変わることなく次第に縦に長くなっていき、各車は数秒の間隔を空けて、それぞれ単独走行の状態になった。 序盤ペースの上がらなかった3番手ライコネンが、10周を過ぎたあたりから徐々にペースを上げはじめた。14周目にはファステストをマークして、前を行く2番手クビサとのギャップを詰めようとする。 スロースタートではあったものの、結構ライコネンは気合が入っているみたい。ハミルトンには前戦モナコで完敗してポイント首位の座を譲ってしまった。ここで連敗してギャップを拡げるわけにはいかないもんね。 レーススタート。PPから好スタートのハミルトンがホールショット。 クビサ、ライコネンも順調なスタートでハミルトンに続く。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com ハミルトンが先頭をグングン逃げて、クビサ、ライコネンとのギャップを広げる。 Photo © F1grandprix.it ハミルトンを逃がしたくないライコネンがクビサをプッシュ。 ファステストをマークしながらプレッシャーを掛けるものの、クビサも巧みにブロック。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com ヒートアップする2番手争いを尻目に、トップのハミルトンは独走状態に。 2年連続ポール・トゥ・ウィンに向けて一直線。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com ライコネンが追い上げを開始する直前の13周目、16番手を走っていたスーティルがマシントラブルでコース脇にストップしていた。 別にクラッシュしたわけでも火が出てるわけでもなく、なんてことはないトラブルかと思ったけど、マシンを停めた場所が悪かったのか、17周目にセーフティ・カー(以下、SC)が導入された。 トップを独走状態だったハミルトンにとってはアンラッキー、ライコネンにとってはラッキーなSC導入。ピットレーンがオープンになると、レース後半のバトルに備えて、両者を含む上位陣がピットレーンになだれ込んだ。 昨季、コンストラクターズ・ポイントを剥奪されたマクラーレンのピットは、ピットレーン入り口に近い一番手前にある。一方、王者フェラーリのピットは、ピットレーン出口に近い一番奥のピット。両者のこのピット位置関係が、この直後に信じられないアクシデントを生んだ・・・・ スーティルのクラッシュでSC導入。せっかく独走していたハミルトンがっかり。 それでもレースペースに自信のあるハミルトンは、この時点ではまだ余裕綽々だったが・・・。 Photo © CRASHNET / Motorsport.com ピットレーンが開放されると、各車一斉にピットレーンに雪崩れ込んだ そして、この後衝撃の展開に・・・・・! Photo © xpb.cc / Motorsport.com 最初にピットガレージ前を離れたのはハミルトン。ほぼ同時にクビサ、ライコネンもピットレーン出口に向かうが、出口に設置された信号は赤色。昨年はマッサとフィジケラが、この赤信号を無視してレーストラックに出て黒旗失格処分になっている。クビサとライコネンは大人しく並んで停車した。 ところが、ピットレーンのずっと手前からやってきたハミルトンはこの赤信号を見ていなかった。それどころか、ステアリング・ホイールのスイッチ類の操作で忙しく、クビサとライコネンが停まっていることすらも気がついていなかった。 ハミルトンは2台の直後にまで迫って、そこでようやく2台が停まっていることに気がついたが、時既に遅し。慌ててブレーキをかけ、ハンドルを切って回避しようとするが、間に合わずにライコネンのお尻にズドン! F2008のリアが大破してしまう。 ハミルトンのばかやろう 凸(゜Д゜#) さらにもう1人、赤信号に気づいていないドライバーがいた。ロズベルグだ。ロズベルグはハミルトンのお尻にズドン! ハミルトンのMP4-23もリアを大破した。 ロズベルグのアホんだら ヽ(`Д´)ノ マシンが大破したハミルトンとライコネンはともにここでリタイア。チャンピオンシップをリードする2台がリタイアするという、最悪のアクシデントになった。 まったく、GP2上がりのお子様達は・・・・・ ポカーーーーーーーン (゜д゜ ) Photo © DPPI / www.F1-Live.com ピットレーン出口で、赤信号で停車中のライコネンにハミルトンがまさかの追突! マシン後部を大破したライコネンと、フロントを大破したハミルトンは揃ってリタイアに。 Photo © CRASHNET / Yahoo!EUROSPORT 優勝、そしてシーズンタイトルを争うトップ2がコース上から一瞬にして消えた。 信じられん。ハミルトンの馬鹿野郎!! Photo © CRASHNET / Yahoo!EUROSPORT トップ2台が一瞬で消えるとんでもない大アクシデントのおかげで、その後のレースは大混乱に陥った。 ロズベルグは幸いレースに復帰できたものの大幅にポジションダウン。さらに、アクシデントの影響でピット作業ができなかったマッサは再度ピットインし直すはめになって、こちらも大きく後退。 自己責任のロズベルクはともかく、マッサとフェラーリはツイてないねぇ・・・・・ 21周目にSCがコース外に引っ込むと、自爆ルトンに変わるレースリーダーにハイドフェルト、2番手バリチェロ(!)、3番手中嶋Jr.(!!)、4番手ウェバー、5番手クルサードというオーダーでレースが再開された。 28周目にハイドフェルトがタイヤ交換のためピットインして後退。代わってバリチェロが3年ぶりにラップリーダーに立った。その後も各車のピットストップのタイミングで順位が目まぐるしく変わり、42周目にクビサがこのレース7人目のレースリーダーになると、ようやく順位争いも安定した。 2番手にはハイドフェルトが浮上してきて、BMWが1-2体制だ。 ライバルの紅色のクルマも銀色のクルマも前から居なくなったクビサは、レース終盤を快調に飛ばし、2番手ハイドフェルトとのギャップを広げていく。49周目に2回目のピット作業を済ませてレーストラックに戻った時もトップをキープ。残り20周。栄光のチェッカーに向けて最後のスパートだ。 後方では、一時は3番手に浮上した中嶋Jrがバトンのオカマ掘ってリタイアしたり、フィジケラが大クラッシュして、これでまたSCが出てくると踏んだ連中が一斉にピットインしたけどアテが外れてSCが出てこなくて無駄にポジションダウンしたりと、依然、混乱が続いている。 1ストップ作戦だったため、SC導入時にピットに入らなかったハイドフェルトがトップに浮上。 ピットインをして一旦順位を落とした後、再び安定したスピードで難なく2番手のポジションを奪回した。 Photo © BMW Sauber F1 ハイドフェルトが後退して、代わってトップに立ったのはバリチェロ! バリチェロがラップをリードするのは3年ぶり。ハミルトンの馬鹿のおかげでレースは大混乱じゃ。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com ハイドフェルト同様、1ストップ作戦だった我らが中島Jrは3位に浮上。 前戦に続くポイントゲットもありえるぞ! Photo © xpb.cc / Motorsport.com ハミルトンの自爆クラッシュの巻き添えで一時は最後尾にまで落ちたマッサ。 その後の怒涛の追い上げで、レース終盤にはポイント圏内にまで戻ってきた。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com アロンソはレース中盤、王者の攻めの走りで3番手にまでポジションアップしてきた。 このまま表彰台ゲットか・・・、と思いきや、残念ながらマシントラブルでリタイア。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com レース終盤はクビサが安定したスピードでトップを独走。 念願の初優勝に向けてラストスパート。 Photo © CRASHNET / Yahoo!EUROSPORT そしてチェッカー。 レース終盤にトップに立ったクビサが、残り周回を安定した走りで逃げ切り、遂にポーランド人ドライバーとして初優勝を達成した。1年前に大クラッシュしたコースで初優勝するとは、なんというリターンマッチ・ストーリー! クビサの優勝は、BMWザウバーにとっても悲願の初優勝。 さらに2位にはハイドフェルトが入って、BMWザウバーは初の1-2フィニッシュも同時に達成。 ハイドフェルト自身にとっては自己ベスト・タイ・フィニッシュ。 3位はクルサードで、2年ぶり、通算62回目の表彰台。 以下、4位にはこれが自己ベストのグロック、5位にはレース中盤から怒涛の追い上げをしたマッサ、6位にトゥルーリ、7位にバリチェロ、8位にヴェッテルが入った。 レース序盤のアクシデントで大混乱に陥った中、冷静に勝負を読み切ったクビサが念願のトップチェッカー。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com チームにとって、母国にとって、そして自分自身にとって、記念すべき初優勝を達成。 ハミルトンとライコネンがリタイアしたことで、クビサがランキングでも首位に浮上。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com スーパーマリオも感激! Photo © CRASHNET / Yahoo!EUROSPORT 2位にはハイドフェルトが入って、BMWは初優勝と同時に初の1-2フィニッシュも達成。 3位には、大混乱の中でベテランらしい経験と勘を働かせたDC。2年ぶりの表彰台。 Photo © F1grandprix.it チャンピオンシップポイントは、クビサが自身初の首位をゲット。ポーランド人ドライバーとしても、もちろん史上初。この日は間違いなく、ポーランドのモータースポーツ史に残る記念すべき日になったな。 自爆ルトンは2位に後退し、ライコネンはマッサに1点差で逆転されて4位に陥落した。 首位クビサから4位ライコネンまでは7点差。タイトル争いは、クビサも交えて四つ巴の戦いになってきた。 ただし、レース後、ピットレーンでクラッシュの原因を作ったハミルトンには、ロズベルグと共に次戦フランスGPで10グリッド罰退のペナルティが出た。フランスGPを開催するマニクールは抜けないサーキット。今回のクラッシュと苦戦必至の次戦の合わせ技で、ハミルトンがタイトル争いから一歩後退することは間違いない。 ま、自業自得だからしょうがないね。 なんとクビサが、チャンピオンシップ・リーダーになっちゃった! まさか本人も、ポイント首位でヨーロッパに戻れるとは思ってなかったろうな。 Photo © F1grandprix.it 全てが完璧だったはずなのに、一瞬のミスでその全てを失ったハミルトン。なぜだ? 「坊やだからさ」って赤い人が言ってました。たぶんフェラーリの人です。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com 不運なもらい事故でリタイアしたライコネン。事後後、意外なほど淡々としていたけど、それでいいのか? このところ、ぶつけたり、ぶつけられたり、なんか歯車が噛み合ってないな。 Photo © xpb.cc / Motorsport.com 戦前には予想だにしなかった衝撃的な結果に終わったカナダGP。
次戦から舞台は再びヨーロッパに戻るけど、まだ何か起こりそうな気配・・・・・ Photo © Renault F1 UK
by oretch
| 2008-06-30 22:39
| F1
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