様々な情報と立場と主張がある中で、全てにはこの一言に集約されている
「日曜日の出来事は、ミシュランチームが自分たちに都合のよい結果を見出そうとし、FIAとフェラーリは彼らに手を貸そうとしなかったということだ。」 (ジェイムズ・アレン/F1通信より) [Photo : crash.net] 起こったこと
上記以外にも今回の出来事をめぐって様々なことが起こっている。 ドライバーの団体であるGPDAが内紛とか、ストッダートがフランスGPボイコットを匂わせるとか。 もうウンザリ。 レース中に怒って帰る観客達。ガンガン訴訟起こしたれ。 [Photo : crash.net] 全ての元凶はミシュラン 全ての原因と責任は、安全を保証できないタイヤしか用意しなかった、或いは、十分に安全なタイヤを作ることに失敗したミシュランにある。 冒頭のコメントにあるように、ミシュランは自らが問題を招いた責任を棚に上げ、最後まで自陣が有利になることに固執し、FIAからの妥協案を拒み続けた。手前勝手な主張を散々した挙句、FIAがこれを退けると、陣営の14台をピットに引き上げさせ、アメリカGPを台無しにした。 こんなにもスポーツを、ファンを愚弄した行為をこれまで見たことがない。 どんな言い訳も通じない。これまでの経緯を振り返れば、ミシュランの手前勝手で無責任な態度は全く許しがたい。全ての責任はミシュランにある。 また、ミシュランの指示に従ったチームも同罪だ。ミシュランがどう言おうと、実際にレースにエントリーしているのは彼らであり、ボイコットという行動を起こしたのも彼らだ。確かに彼らにしてみれば、タイヤが安全でない以上、ああするしかなかったのかも知れない。しかし、そんな危険なミシュラン・タイヤを採用したのは彼ら自身であり、少なくとも、彼らはその点において明確に責任を認め、ブリヂストン勢に対して不利になることを甘受し、FIAからの提案を受け入れるべきだった。 トンズラこく元凶ミシュランの関係者ども。米市場で株価下落。ザマミロ。 [Photo : crash.net] 一方、FIAを非難する声もある。 でも、今回に限ってはFIAを非難するのは的外れだ。今回は珍しくFIAは最後まで正論を通した。ルールを擁護し、エントラントの公平を期すのがFIAの何よりの責務。従って、フェラーリ他ブリヂストン勢が不利になるような諸々の提案を全て退けた彼らの行動は正しい。また、安全性の確保という面から見ても、シケイン設置という提案は無謀なものであり(シケイン設置が危険な理由は後述)、これを退けたのは妥当な判断だった。 確かにF1を統括する立場としてもっと知恵を出せなかったのか、指導力を発揮できなかったのか、とは思う。でも、F1は統括団体であるFIAだけで行うものではない。 #普段、強権を振るうFIAを非難する時に使われれるロジックが今回は逆になる チーム、サプライヤー、ドライバーなど、全ての関係者、企業がルールを尊重し、善意を持って取り組むことが必要だ。今回のように、一部の不届き者が自ら招いた問題の責任を認めず、ルールを捻じ曲げようとするのならば、FIAにこれ以上のことを求めるのは酷だろう。 今回だけは緊急事態ということで特別ルールで出来なかったのか、という声も多い。ただ、そうした視点はF1を興行として捉えているからだろう。気持ちは分かるが、オレッチはF1をスポーツだと思っているので賛成はできない。確かに興行としての価値が大きく、そうした視点でF1を見ている人が多いのも事実だが、その価値の源泉はあくまでもスポーツであることの蓋然性があるからこそだと思う。何かあるたびに恣意的に運用されて、そこに真の競争が存在すると言えるのだろうか? 興行面よりもスポーツとしての蓋然性を最後まで優先したFIAの態度をオレッチは支持する。実際、ルールに則ってレースは実施され、そして成立もしている。 ただ、FIAが“賢くなかった”と思う点が一つだけあるにはある(詳細は後述)。 また、フェラーリを非難する声もあるが、こちらはFIA以上に明らかに的外れで、寧ろ恣意的で悪質だ。こちらも普段は鼻に突く行動の多いフェラーリではあるけれども、アメリカGPにおいては、フェラーリは非難されるようなことは何一つしていない。彼らは正しい準備をしてアメリカGPに臨んだ。彼らが、予定通りのコース、手続き、ルールでレースが開催されるこを望むのは当然のこと。彼らの立場にすれば、シケイン設置を拒否するのも当然のことだ。 ミシュランの欺瞞 元凶であるミシュランとその一味の糾弾より、FIAとフェラーリの擁護により多くの文字数が必要になってしまった。 なぜか? オレッチがミシュランを許せない理由が、そこにある。 ここから書くことはあくまでオレッチの推測に過ぎないので、お読みいただく方には、その点を事前にご了解ください。 なぜオレッチがミシュランを許せないのか? ミシュランは安全なタイヤを用意しなかったことを棚に上げて、シケイン設置を要求し、これを受け入れなかったFIAを非難している。 シケイン設置だって? よく言うよ。 シケインが本当に設置されたら、一番困ったのはオマエだろうが。 オレッチがミシュランを許せない理由。それは、ミシュランが我々ファンを騙そうとしたからだ。 ではなぜそう考えるのか? タイヤトラブルの原因 ミシュランはタイヤの問題を完全に把握できていなかった。非難を覚悟で自陣に不利な条件を拒む強硬な態度を示しつつ、FIAが受け入れるはずも無い、矛盾だらけのシケイン設置案に最後まで固執した。 これらのことから推測可能な理由は一つしかない。 ミシュランは、はなから決勝レースを走る気はなかったということだ。 繰り返しになるが、ミシュランはタイヤの問題を完全に把握できていなかった。本来なら、この時点でミシュランは素直にギブアップすべきだった。たとえどんな妥協案や解決案が出されても、不測の事故を回避する可能性を排除し切れないと、正直に告白すべきだった。「自分達の用意したタイヤは、どんな条件でもまともにレースを戦うことはできません」と。 或いは、数周ごとにピットインするなりピットレーンをドライブスルーなりして無様な負けっぷりを世界中に晒す覚悟をすべきだった。 でも、ミシュランはそうしなかった。白旗を揚げたり無様な姿を現実に世界に晒すよりは、真実をウヤムヤにし、FIAを道連れにして少しでも責任を回避する可能性に賭けた。あわよくば、FIAに責任をなすりつけようとした。 具体的には、FIAが受け入れられないような無理な条件(シケイン設置案)を提示し、更に、強硬な姿勢(自陣不利の拒否)を貫いてFIAがよもやその提案を受け入れないように補強した。そして、もはや己の提案が採用不能になった時点でようやく妥協の姿勢を示し(自陣不利を受け入れ)、FIA側に責任を転嫁して逃げ出した。 結局、誰のどんな努力も無意味だったに違いない。全てはミシュランが安全なタイヤを作ることに失敗した時点で終わっていた。ミシュランはそれが分かっていた。だからミシュランは、はじめからレースを走らないで済ますことを狙っていた。シケイン設置の要求やボイコットという体裁は、ウマくすればFIAに責任を擦りつけられるようにするための単なるポーズ、偽装工作であって、FIAはまんまとミシュランの術中にハメられ、我々ファンは愚弄されたのだ。 アメリカGP後、ミシュランは次のようなコメントを出した。 「シケイン設置は現実的で実行可能だと信じているが、FIA側の都合により除外された」 「ミシュランはドライバーの安全を常に優先します。コンペティション用にせよ他の用途にせよ、ことタイヤに関するかぎり、私たちはこの点についてスタンスを変えるつもりはありません。」 読んでるだけでムカついてくる。 とは言え、ここまでの記述はあくまでもオレッチの推測に過ぎない。真実が明らかにされることも無いだろうから、結局オレッチに言わせれば、ミシュランの賭けは成功したということだ。現に、シケインを設置したならレースが可能だったというミシュラン陣営の主張を信じて、シケイン設置案を呑まなかったFIAを非難する声が溢れている。 だからせめてオレッチはネットの片隅のちっぽけなブログで憂さ晴らしにこう叫ぶのさ。 糞ミシュラン死ね! ※文章中にある関係者のコメントは、全てF1通信さん(http://blog.livedoor.jp/markzu/)からの引用です。 でも2輪は別ね。 アメリカGPの件で、ここぞとばかりにフェラーリを非難している声が決して少なくないのには驚いた。フェラーリ、そんなに嫌われてたんかいな?ま、いつの世も強すぎる奴は必ずアンチが出るもんだ。宿命ですな。 ミシュランが北朝鮮だとすれば、ポール・ストッダートは湾岸戦争のときのヨルダンみたいな感じだな。香ばしいぞ、ストッダート! そんなストッダートについても、冒頭のコメントを出したジェイムズ・アレンが喝破している。 「ポール・ストッダートは、最大のライバルであるジョーダンがまず仲間を離れたので、彼はそれに従うしかなかったと言っている。これはチームボスとしての自己本位性をよく表しており、その自己主義がF1を破壊しているのだ。」 現地リポーターの報告によれば、トゥルーリのPPには裏があったらしい。 トヨタはミシュランのタイヤではどの道、どんな形であれレースできないことを知っていたから、トゥルーリに3ラップ分の燃料しか積まずに予選を走らせてポールを獲らせたとのこと。トヨタは最初にシケイン設置を提案したくせに、PP獲った後はシケイン設置に最後まで難色を示していたらしい。そりゃそうだ、そしたらトゥルーリは3ラップ目にもうピットインしなきゃいけなかったんだから。 またこの情報が真実だとすれば、FIA非難派が主張する「シケインを造りさえすれば」という主張が無意味だったことを示している。シケイン作っても結局ダメだったんだよ。 ま、この情報が真実かどうか分からんけど。
by oretch
| 2005-07-05 22:43
| F1
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