ミハエル・シューマッハは「このトラックは夢のようだ。特に最初のセクターがね」と言う。 今シーズンが始まってからは、F1に関する記事といえば結果を書くので手一杯。プレビューどころかレビューすら書く余裕が無かった。 だけど日本GPだけはそういうわけにはいかん。 来季から日本GPの舞台は富士に移る。過去20年にわたって最高のショーを提供してくれた鈴鹿は今年で“当面の間”ラスト。さらにF1史上に残る数々の金字塔を築いてきた偉大なチャンピオン、皇帝シューマッハも今季限りで引退。つまり「鈴鹿ラスト×皇帝ラスト」ってことなんだから、これはプレビューからちゃんと書いとかないと気がすまない。 っつーことで久々のF1GPプレビュー。 ■ 2005 Result Classification : Dry : 74Laps [1] 9 Kimi Raikkonen (FIN) / McLaren MP4-20 / MI 1:29'02.212 [2] 6 Giancarlo Fisichella (ITA) / Renault R25 / MI +1.633 [3] 5 Fernando Alonso (ESP) / Renault R25 / MI +17.456 [4] 7 Mark Webber (AUS) / Williams FW27 / MI +22.274 [5] 3 Jenson Button (GBR) / B.A.R. 007 / MI +29.507 [6] 14 David Coulthard (GBR) / Red Bull RB1 / MI +31.601 [7] 1 Michael Schumacher (GER) / Ferrari F2005 / BS +33.879 [8] 17 Ralf Schumacher (GER) / Toyota TF105 / MI +49.548 Race Leader Lap 1 17 R.Schumacher / Toyota Lap13 6 G.Fishichella / Renault Lap21 3 J.Button / BAR Lap23 14 D.Coulthard / Red Bull Lap24 1 M.Schumacher / Ferrari Lap27 6 G.Fishichella / Renault Lap39 3 J.Button / BAR Lap41 9 K.Raikkonen / McLaren Lap46 6 G.Fishichella / Renault Lap53 9 K.Raikkonen / McLaren Pole Position 17 Ralf Schumacher (GER) / Toyota TF105 / MI 1'46.106 Fastest Lap 9 Kimi Raikkonen (FIN) / McLaren Mercedes MP4-20 / MI 1'31.540 去年の日本GPはまさに「ライコネン・ショー」。17番グリッドから怒涛の追い上げで最終ラップに逆転優勝。前戦で初タイトルを獲得したアロンソも8列目から見事な追い上げだった。恐らくF1史上に残る名レース。 それもこれも鈴鹿だったからだと思うんだけどねぇ・・・ 【F1】第18戦 日本GP 結果/レビュー ■ 過去5年間の結果 Winners とにかくシューの圧倒的な実績。優勝3回。どちらもポール・トゥ・フィニッシュ。 ただ、昨年はライコとアロンソにブチ抜かれちゃったけどね。 ■ 有力ドライバー別過去5年間(2001-2005)の鈴鹿での成績 現在ポイントランク10位内のドライバーに絞ってまとめてみる。 Driver ; Position Points やっぱりここでもシューマッハがトップ。でも過去5年間の全てのサーキットの平均得点(合計点÷出走回数)「6.89」に比べると微妙に低い。 シューに次いで高実績なのはライコネン。去年の劇的な勝利に加えて、それ以前にも2年連続で表彰台をゲットしている。全サーキットの平均得点「3.58」と比べてもかなり高いので、鈴鹿はどうやら得意なようだ。 アロンソは01はミナルディだったからしょうがないとしても、ルノーで走った3年間でも表彰台1回っていうのはチト弱いね。全サーキットの平均得点「4.27」に対して半分近い落ち込み。過去の実績を見た限りだとシューに対して劣勢は否めませんな。 ちなみに、これら3名に続くホンダの両ドライバーの全サーキット平均得点は、バリチェロ「4.08」、バトン「2.25」。どちらも鈴鹿が得意なようね。 ※全サーキット平均得点は2002年以前を現在の得点制に換算して算出 ■ 有力コンストラクター別過去5年間(2001-2005)の鈴鹿での成績 トップ3とホームチームのホンダの過去の成績は以下の通り。 Const. ; Position Points 過去実績はやはりフェラーリがトップ。昨年はグズグズだったものの、その前は4年連続優勝している。 タイトルを争うルノーはかなり分が悪い。昨年こそ2-3フィニッシュを飾ったものの、それが鈴鹿初表彰台だったんだから、どうやら相性はだいぶ悪そうだ。 フェラーリに次ぐ実績をあげているのはマクラーレン。昨年の1勝に加え、04年を除いて毎年表彰台をゲットしている。 現在フェラーリをリードするルノーだけど、過去実績だけを見て予想すると、フェラーリどころかマクラーレンにも喰われて大きく後退する可能性が高い。 ■ タイヤメーカーの過去5年間(2001-2005)の鈴鹿での成績 タイヤメーカーについても調べてみる。 Maker ; 優勝 表彰台 入賞 合計点 数のミシュランに対して質のブリヂストンって感じ? 表彰台、入賞、合計点は勢力として優位にあったミシュランが勝ってるものの、優勝回数ではブリヂストンの圧勝。ま、それはつまりフェラーリの成績なんだけどね。 ※2002年以前は現在の得点制に換算 独断と偏見による予想 過去のデータと今季の成績を考えると“シュー×フェラーリ×ブリヂストン”のパッケージが圧倒的優位。加えて今季ここまでの流れを見ると、まぁ順当なら皇帝シューが鈴鹿で最後の優勝を飾るだろう。 アロンソとルノーにとって良い材料と言えば昨年シューに勝ったことぐらい。もちろん今季もここまで互角に戦ってきたけど、鈴鹿の得意度ではドライバー、コンストラクターともにかなり差をつけられちゃってるから、これはやっぱりシュー優位は動かしがたいね。 ここで頼りになるチームメイトが入ればまた話は変わってくるけど、残念ながらフィジコもとても鈴鹿が得意とは言い難い。勿論、ルノーR26のポテンシャルを活かして上位に入ってくるとは思うけど、前戦中国GPのように今のシューを抑えられるほどのパフォーマンスは期待できない。フィジコに頼めることといえば、自分より後ろにいて邪魔をしないでもらうことぐらいだろう。 ただ、本来なら気がかりな存在のはずの敵のセカンド、マッサも、鈴鹿では過去全く実績が無いし、今季も終盤に入って失速ぎみだから脅威になりそうもないから、まぁプラマイ・ゼロってことですな。 こうなるとアロンソとしては、とにかくシューに差をつけられないこと、できるだけシューに近い順位でフィニッシュするように頑張るしかない。 シューをしっかり最後までマークし切れるかどうか、自分次第っつーことになる。 ただ、シューのすぐ後ろでフィニッシュできればそれでいいというワケでもない。 もしシューが優勝した場合、たとえ自分が2位でフィニッシュしても自力チャンピオンの可能性が消えてしまう。 仮に最終戦でアロンソが優勝したとしても、シューが2位に入れば得点では並ぶものの、優勝回数の差で負けてしまうからだ。 ということで、アロンソとすれば己はシューの直後でフィニッシュできるよう努力すると同時に、誰かがシューより前でフィニッシュすることを期待しなければいけない。 シューよりも前でフィニッシュできる力があるのは誰か? 一番に名前があがってくるのはもちろんライコネンだ。 鈴鹿を得意とし、昨年はF1史上に残る鮮烈な優勝劇も演じている。今季は思うような成績が出てないけど、こと鈴鹿に関してはかなり期待できるように思う。 でも、果たしてアロンソはライコネンに期待していいのか? 答えは否。期待できないでしょ。だって、ライコは来季フェラーリに移籍するもんね。 シューの後釜としてフェラーリ入りすことが決まってるライコネンが、わざわざフェラーリの敵に回るような真似をするわけがない。シューが引退し、自身がフェラーリのエースになる来季以降、最大のライバルになるのはアロンソなわけだ。アロンソに打ち勝つには一日も早くスクーデリア全体の信頼を獲得して、万全の体制を築く必要がある。であば、今回はシューとフェラーリに味方してやるのが最善の選択だ。 来季以降を見据えた時、ライコにとってベストの展開は、シューに勝たせて自分はシューとアロンソの間に割っては入ること。これならフェラーリにでっかい恩を売っておくことができるし、同時に来季に向けて眉毛男の鼻っ柱をヘシ折っておくことも出来る。 ということで、シューだけでなくライコネンまでも相手にしなければいけないアロンソが絶対不利と見て、鈴鹿での“当面の”最後の優勝者はシューで決まり!
by oretch
| 2006-10-07 10:26
| F1
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